2008-01-01から1年間の記事一覧

「平安朝の後宮文学」研究に尽力された角田文衛氏を悼む

紫式部や清少納言が活躍した頃の後宮文学を深く研究され、その普及に生涯を捧げられた角田文衛氏の逝去を今朝の日経新聞で知った。おりしも氏が長い間館長を勤められた平安博物館(現京都文化博物館)では、「源氏物語千年記念典」が華やかに盛大に開催され…

矯めつ眇めつ映画プログラム(47)「恋の秋」

「春のソナタ」「冬物語」「夏物語」で若者の恋を瑞々しく描いたエリックロメールが、四季の物語シリーズの完結編として1998年にメガホンを撮った「恋の秋」は、まさに人生の黄昏を迎えた中年男女の恋のなりゆきを色彩豊かに描いている。 フランスの小都…

矯めつ眇めつ映画プログラム(46)「木と市長と文化会館」

箱物さえ作れば地域が活性化すると思い込むのは日本の官庁や自治体だけではなさそうで、エリック・ロメールが1992年に監督した「木と市長と文化会館」は、文化会館を建設して街興しを目論む市長提案を、反対派が議論好きの国民性を発揮して、大人も子供…

矯めつ眇めつ映画プログラム(45)「緑の光線」

若い娘にとって、一緒に過ごす恋人や友人のいない長いバカンスがどんなに孤独でいたたまれないかを、内気でパッとしない一人のパリジェンヌを通して、エリック・ロメールが瑞々しい感覚で1986年に描いたのが「緑の光線」である。 待ちに待った夏のバカンス、…

矯めつ眇めつ映画プログラム(44)「黄昏のチャイナタウン」

ジャック・ニコルソンが1990年に監督・主演した「黄昏のチャイナタウン」は1974年にロマン・ポランスキーが監督した「チャイナタウン」の続編に当たり、ジャック・ニコルソンを主役に、フェイ・ダナウェイ、ジョン・ヒューストンを配した前作に比較…

矯めつ眇めつ映画プログラム(43)「ハメット 」

「マルタの鷹」でサム・スペードを創作し、ハードボイルド小説の父と称されたダジール・ハメットを讃え、凝りに凝った映像でヴィム・ヴェンダースが1982年に監督したのが「ハメット」である。 時は1928年、大恐慌時代のサンフランシスコ、ピンカート…

矯めつ眇めつ映画プログラム(42)「ザ・インターネット」

今や生活インフラとしてなくてはならないインターネットだが、国家陰謀のプログラムを入手したことから命を狙われ、自分の個人記録を全て抹消されて国家の保護さえ受けられない女性が、一人で完全と悪に立ち向かう姿を描いたのが、アーウィン・ウィンクラー…

矯めつ眇めつ映画プログラム(41)「ペリカン文書」

一夜に二人の最高裁判事が暗殺された異常な事件の真相を、法学部の女子学生が仮説にまとめ、そのレポートを恋人の法学部教授に渡したことから殺し屋に追われる恐怖を描いたのが、アラン・パクラがジョン・グレシャムの同名小説を1993年に映画化した「ペ…

矯めつ眇めつ映画プログラム(40)「ロング・グッドバイ」

腹を空かせた愛猫に起こされ、眠い目をこすりながら明方のスーパーマーケットに餌を買いに行くマーローを冒頭から登場させて、ロマンの香り高い男の友情を描いて世界のチャンドラー・ファンを痺れさせた「ロング・グッドバイ」を原作とは似て非なる作品に仕…

矯めつ眇めつ映画プログラム(39)「カンザス・シティ」

ジャズ映画といえば故ロバート・アルトマン監督が出身地を舞台に1995年に撮った「カンザス・シティ」は全編これ黒人ジャズといった趣で忘れ難い。 時は大恐慌下の1934年、ルーズベルト大統領就任二年目のアメリカは腐敗政治が蔓延し、選挙投票日を明…

矯めつ眇めつ映画プログラム(38)「ラウンド・ミッドナイト」

「田舎の日曜日」で20世紀初頭のパリ近郊の豊かな田舎生活を描いたベルトラン・タヴェルニエ監督が、1986年に撮った「ラウンド・ミッドナイト」では、黒人差別や時代遅れを理由にジャズの本場アメリカから見放された大物ジャズミュージシャンを受け入…

矯めつ眇めつ映画プログラム(37)「田舎の日曜日」

「田舎の日曜日」は1941年フランス・リヨン生まれのベルトラン・タヴェルニエ監督が、まだまだ豊穣であった20世紀初頭のパリ近郊の田舎生を背景に、老いを自覚し始めた父と娘の愛情をきめ細かく描いた1983年の作品である。 1910年代のある日曜…

矯めつ眇めつ映画プログラム(36)「ミュージックボックス」

「Z」「戒厳令」「ミッシング」と常に重い政治テーマを取り上げてきたギリシャ出身のコスタ・ガブラスが、アメリカで平和に暮らすハンガリー移民の一家に突然降りかかるユダヤ人虐殺の嫌疑を巡り、極限状態における父と娘の愛情に鋭く切り込み1989年に監…

矯めつ眇めつ映画プログラム(35)「アンジップト」

チビで小太りの私はとても先端のファッションを着こなす体型とはいえないが、生まれながらの新し物好きで、ファッション雑誌でも相当の通が読むとされていた「流行通信」をかなりの期間、最寄り駅に隣接する書店から購入していた。ニューヨーク・コレクショ…

矯めつ眇めつ映画プログラム(34)「パリ、18区、夜」

「パリ、18区、夜」は、女性監督クレール・ドゥニが、1987年の老女連続殺人事件と絡めて、人種の吹き溜まりと呼ばれるパリ18区に暮らす人々を、マルチニック出身の黒人青年とリトニアから女優を目指してきた若い女性にスポットを当てて描いた199…

矯めつ眇めつ映画プログラム(33)「殺意のサン・マルコ駅」

「殺意のサン・マルコ駅」とはおかしなタイトルである。駅が殺意を抱くのかいな?などと揚げ足を取ってみたくなるが、それでも新聞の片隅の小さな広告に惹かれて映画館に足を運んだくらいだからキャッチ・コピーの役目を果たしていたのであろう。 この映画は…

矯めつ眇めつ映画プログラム(32)「ポロック」

日本の美術愛好家が印象派一色の時代に、敢えて現代美術の幟を掲げた西武美術館(セゾン美術館)に足繁く通ったおかげで、私はジャスパー・ジョーンズとジャクソン・ポロックの作品を知ることが出来た。 映画「ポロック」は、話題作「めぐりあう時間たち」で…

矯めつ眇めつ映画プログラム(31)「バスキア」

映画「バスキア」は、80年代ニューヨークのアートシーンに彗星のごとく登場しながら、失意のうちに27歳の若さで夭逝した天才画家バスキアを、ジュリアン・シュナーベル監督が1986年に描いた作品だが、バスキアの名前を知らなかった私が、この映画を…

矯めつ眇めつ映画プログラム(30)「愛する者よ列車に乗れ」

映画「愛する者よ列車に乗れ」は、パトリス・シェローが1998年に監督した作品で、亡き画家の「私を愛する者はリモージュ行きの列車に乗れ」の遺言に従って、かつて画家と関係の深かった人たちが、パリから同じ列車に乗って葬儀に参加するまでを、親子・…

矯めつ眇めつ映画プログラム(29)「知りすぎていた男」

アルフレッド・ヒチコックが1956年に「知りすぎていた男」を監督した時、田舎の小学生だった私が観ていたのは東映時代劇ばかりで、アラン・ラッドの「シェーン」を観る為に父は私を県庁所在地の映画館まで連れて行ってくれた。しかし、「先の事など、分…

矯めつ眇めつ映画プログラム(28)「フィフティー・フォー」

映画「フィフティー・フォー」は、70年後半から80年代の語り草となったニューヨークのディスコ「スタジオ54」で、音楽とダンス・麻薬とセックスに酔いしれる人々の狂気と熱気を、一人の青年の目を通して描いた、マーク・クリストファー監督の1998…

矯めつ眇めつ映画プログラム(27)「ビギナーズ」

映画「ビギナーズ」は、1958年のロンドンのソーホーで夜毎ジャズとダンスに明け暮れる若者の熱気を背景に、カメラマン志望の若者とデザイナーを目指す少女の恋の行方を描いた1986年のジュリアン・テンプルの監督作品である。 若い二人の恋物語は意地…

矯めつ眇めつ映画プログラム(26)「サブウェイ」

映画「サブウェイ」はパリの地下鉄構内を住処として、風変わりだが自由気ままに生きる人達を描いたリュック・ベッソンの1984年の監督作品である。 えっ、パリの地下鉄構内で暮らす人がいるの?それが、いるんですよね。金髪にタキシードを着こなした長身…

矯めつ眇めつ映画プログラム(25)「猫が行方不明」

パリの下町に住む若い女性が、久しぶりにバカンスに出かけるために近所の老婦人に飼い猫を預けるが、旅行から戻ってくると猫が行方不明になっていた。その猫を探すために日頃付き合いのなかったご近所の人たちも総出で町に繰り出す。 たったそれだけの話を、…

矯めつ眇めつ映画プログラム(24)「銀行」

仏銀大手ソシエテ・ジェネラルの約7兆8千億円にのぼる巨額損失問題で、銀行トップが早々と元ディーラーの単独犯罪で組織的な関与は一切ないと宣言していたが、1月28日日経夕刊で、告訴された元トレーダーの弁護士が「ケルビエル氏は背信行為は一切して…

矯めつ眇めつ映画プログラム(23)「靴に恋して」

「靴に恋して」は、スペインの新進監督ラモン・サラサールが2002年に撮った作品で、マドリッドを舞台に、靴デザイナーを目指す若くて美しい娘の恋の挫折と立ち直りを縦糸に、夫の愛情を失い、精神不安に陥る度に靴を買いまくる上流階級の中年女性の揺れ…

矯めつ眇めつ映画プログラム(22)「アリス」

高給取りの優しい夫と可愛い娘との家庭があり、高級ブランドで身を包んで洒落たレストランで友人とお喋りをしても、何故か心が満たされない。映画「アリス」は、ウディ・アレンが1990年に監督した作品で、どこにでも見られる専業主婦の心の不安を、ニュ…

矯めつ眇めつ映画プログラム(21)「ドライ・クリーニング」

「読書する女」のミュウ=ミュウが、生活にくたびれた中年主婦を演じる「ドライ・クリーニング」は、美貌の女性監督アンヌ・フォンテーヌが、倦怠期のクリーニング店を経営する夫婦に襲った危機を描いた1997年の作品である。 スイス国境の小さな町でクリ…

矯めつ眇めつ映画プログラム(20)「読書する女」

「読書する女」は、フランスの、ミッシェル・ドビル監督の1988年の作品で、他人の家を訪問して本を読む事を職業にしている女性を描いたもので、1988年にミュウ=ミュウを主演に撮られた。 依頼主のために本を読むといっても、椅子に深く腰を下ろして…

矯めつ眇めつ映画プログラム(19)「厚化粧の女」

フランソワーズ・サガンの同名小説を原作にした、映画「厚化粧の女」は、エーゲ海を航行する豪華客船を舞台に、ブルジョワ階級の様々な人間模様を見せてくれるが、その中でも、金持ち女のジゴロになることを目論んで船に潜り込んだアントニー・ドロン扮する…