2009-12-01から1ヶ月間の記事一覧

後白河院と寺社勢力(13)国守(6)谷底から平茸を握って生還した

「受領(※)は倒るる所に土をつかめ」とは受領を語る上で必ず引き合いに出される言葉であるが、次に登場する信濃守藤原陳忠はまさに典型的な受領の体現者であろう。 (※)受領:任国に赴任する国守は前任者から事務書類その他を受継ぐので受領と呼ばれ下級貴…

後白河院と寺社勢力(12)国守(5)書生を殺して悪事を隠蔽した日

さて、国守は当時どのような眼で見られていたか。「今は昔」で始まる一千余の説話を集めて平安時代末に編纂された「今昔物語集」(岩波文庫)から幾つか拾ってみた。 最初は、悪徳国守を語る上で必ず引き合いに出されるこの物語から。 「巻第29 本朝付悪行…

54 後白河院と寺社勢力(余話)サルコジ大統領と藤原道長

先の総選挙では議員の世襲が議論を巻き起こしたが、その余韻も覚めやらぬ二ヶ月ほど前に、サルコジ大統領が息子をデファンス地区開発公社(EPAD)のトップに就任させる意向を示したことに、余りの身びいきに批判が集中しているとの新聞記事を眼にした。私と…

後白河院と寺社勢力(11)国守(4)清女・紫女が歯牙にもかけぬ五

ところで共に五位の父を持ちながら、中宮後宮サロンの花形スターとして天皇・関白を始めとする上流貴族と接することの多かった清少納言と紫式部は中下流貴族の五位をどのようにみていたのであろうか。 まず、清少納言だが、彼女が「枕草子」で言及する五位は…