2010-09-01から1ヶ月間の記事一覧

後白河院と寺社勢力(50)商品流通と政治権力(8)酒3 美酒は寺

酒造りは神・仏前への供え物として、あるいは正月の自家消費のために神仏習合の寺院から始まったが、有望な収入源として次第に商業化して大規模になり、真言宗天野金剛寺、河内の歓心寺、奈良の興福寺、近江の百済寺などが積極的に酒造りに取組み、寺院生産…

後白河院と寺社勢力(49)商品流通と政治権力(7)酒2 造酒司対

中世の酒流通は延久(1069〜73)の宣旨によって造酒司(※1)が宮廷における酒の需給を管理し、康和(1099〜1104)の抄帳(※2)により決められた山城・大和・河内・和泉・摂津・近江・若狭・加賀・播磨・備前・備中・備後の12カ国の供御人…

後白河院と寺社勢力(48)商品流通と政治権力(6)酒1 刀自から

「久かたの、天の原より、生まれ来る、神の命 奥山の 榊の枝に、しらか付け、木綿(ゆふ)取り付けて 斎食(いはひへ)を斎(いは)ひ掘り痴ゑ 竹玉(たかたま)をしじに貫き垂れ 鹿じもの 膝折り伏して たわやめの おすひ取り掛け かくだにも我は祈(こ)い…

後白河院と寺社勢力(47)商品流通と政治権力(5)米

中世に諸国から米を徴集・貯蔵して、朝廷を始め諸司への配給を司っていた役所は宮内省に属する大炊寮であったが、主として彼らは次に挙げる三つの機能を担っていた。 先ず一つ目は朝廷の朝餉と昼御膳の米を賄う料所としての御稲田の管理、二つ目は諸司の朝夕…

後白河院と寺社勢力(46)商品流通と政治権力(4)菓子3 神人へ

京での栗の売買を目指す栗作御園供御人を自らの支配下に置こうと、『三条以南都鄙供御人等』規則を振りかざす御厨子所に対して、「われらは往古以来蔵人所に属して供御人役を備進しており、山科家殿御使並びに御厨子所使を名乗る貴方方こそ、我ら丹波国栗作…