2007-11-01から1ヶ月間の記事一覧

矯めつ眇めつ映画プログラム(4)フリッツ・ラング監督の「M」

映画「M」は「飾り窓の女」のフリッツ・ラング監督がアメリカに亡命する前の1931年にドイツで撮った作品で、連続少女誘拐殺人の犯人像とその追跡を、ぞくぞくする恐怖感を伴って描いている。この犯人の手口は、ペールギュントのメロディーの口笛を吹きな…

矯めつ眇めつ映画プログラム(3)「飾り窓の女」と「めまい」

ファム・ファタール(運命の女)とは、妖しい魅力で男の運命を狂わせる女を意味するが、殆どはサスペンスフルな映画を出番とする。 これまで私が見た映画のファム・ファタールの極めつけは、1944年にドイツからアメリカに亡命した直後のフリッツ・ラングが撮…

矯めつ眇めつ映画プログラム(2)「ラスト・ワルツ」

「ラスト・ワルツ」は、ザ・バンドが16年間に亘るグループ活動に終止符を打つことを決め、1976年11月25日にサンフランシスコのウインターランドで開いた解散コンサートを、名監督のマーチン・スコセッシが、演奏ツアーやメンバーの語る人生観・音…

矯めつ眇めつ映画プログラム(1)「クリントンを大統領にした男」

サラリーマン時代の私は度し難い映画狂で、週末になると待ちかねたように映画館に駆け込んだものだった。私の映画の見方は監督が主体で、特に、ウディ・アレン、ロバート・アルトマン、アキ・カウリスマキ、ペドロ・アルモドバル、ジム・ジャームッシュ、エ…

風呂敷に見る江戸時代の美意識

ノーベル平和賞を受賞したケニアの女性大臣が「もったいない」の象徴として日本の風呂敷を賞賛したとか、しなかったとか、いずれにしても省エネを強く意識する時代に、風呂敷が復活する動きがあるのは喜ばしい事ではある。 私は3年前に40年間勤務した会社…

芸術のパトロン後白河院(下)絵巻物 「院政期の絵画」展から

日本の歴史上後白河院ほど毀誉褒貶の激しい人物は見当たらない。 十代の半ばから日がな一日今様を歌い暮らし、三度も喉を潰しながらも「今様狂い」と称されるほどの遊び人となり、父の鳥羽上皇からは「目に余る道楽者にて天皇の器量にはあらず」、兄の崇徳上…

芸術のパトロン後白河院(上)六道絵(草紙)「院政期の絵画」展

私が、秋とは言え最高気温33度の炎天下の奈良まで、「院政期の絵画」展(2007.9.1〜2007.9.30)を観に行く導火線となったのは、骨太の後白河院論を展開しつつ、志半ばで1994年に47歳で夭折した棚橋光男金沢大学文学部助教授の遺稿集「後白河法皇」(講…

後白河院の母にして西行の永遠のマドンナ「待賢門院璋子の生涯」

「待賢門院璋子の生涯」を読むきっかけとなったのは、最近めっきり後白河院探索に没頭している私の「あの保元の乱で、兄弟である崇徳上皇と後白河天皇が敵味方で争った要因に、崇徳上皇の父親が二人の生母待賢門院の夫である鳥羽法皇ではなく、鳥羽法皇の祖…

モース主任警部のお国では補聴器は国民健康保険の対象

どうも、お腹の調子が悪い。昨夜チゲ鍋に入れた牡蠣に十分火が通っていなかったようだ。一夜明けて七転八倒の苦しみまで至っていないので軽い症状で終わってくれそうだが。いずれにしても、五十肩の肩の症状も今ひとつなので、予定していた国会図書館での「…

ウェブ進化と21世紀の隠者ならぬ隠居生活

「経年劣化」は電化製品だけにあるのではない。五十肩になって4ヶ月になるが、これも立派な人間の経年劣化である。 ある日突然肩に痛みが走り、腕を後ろに曲げるのにえらい難儀をする。てっきり運動不足が原因かとせっせとストレッチをしてみたが益々症状は…

五十肩・国会図書館断念・蜜柑の皮と椎茸干

昨日はほぼ半日国会図書館に籠り、院政時代の公卿吉田経房の日記「新訂吉記」三巻と格闘した。月曜の午後だというのに広い閲覧室は席を探すのにも苦労する位だ。「新訂吉記」三巻は、清盛という大黒柱を失い形ばかりの安徳天皇(幼帝)を擁する平家と後白河…

始まりは井上靖の「後白河院」から

福田首相の民主党への連立打診で揺れている国会議事堂を尻目に、通りを一つ隔てた国会図書館に三日続けて足を運ぶ事になったのは、平安時代の末期から鎌倉時代の初めに活躍した公卿、吉田経房の日記に眼を通す必要が生じたからです。 井上靖著「後白河院」は…