ウィーン国立歌劇場から宿泊ホテルに戻って皆で感想を述べ合っている時、40代と20代の母娘と私の乗った行きのタクシーだけが、他の二組の二倍近い価格を支払わされた事が判明した。
つまり、私たちの組だけが、タクシー・ドライバーからふっかけられたのだ。
そういえば、私たちがタクシーに乗った直後から、30代半ばとおぼしき、パサパサの長い髪を垂らした化粧気のない女性ドライバーは、頻繁に舌打ちしたり、ハンドルを叩いたりして、過剰にイライラした態度を見せていた。
私たちは、そんな彼女を見て、夕暮れ時の混雑している通りを運転するのは大変なのだと彼女に同情していたのだが。
なるほど、そのタクシー・ドライバーは抜け目なくそんな私たちを観察していたのだ。
ここで、歌劇場行きの3台のタクシーに分乗したメンバーを分析すると、
1台目には40代と20代の母娘と私、2台目にはヨーロッパ駐在経験のある定年退職した夫妻を含む4人、3台目には元ボン公使館スタッフの夫妻を含む3人。
つまり私たちのグループは、その女性タクシー・ドライバーにとって異国から来た騙しやすい観光客だったのだ。
以下は、帰国後海外旅行大好きな男性同僚から聞いた話だが、「国際機関の多いウィーンには三種類の価格体系がある」と。
一つ目は優遇される外交官価格、二つ目は通常価格、そして三つ目は海外観光客価格。
それを聞いて、確かに、一番ふっかけやすいのは、お上りさん丸出しの海外観光客であろうと、私は妙に納得してしまった。








