ツアーメンバーとブダペストの船着き場から乗ったクルーズ船でドナウ川遊覧を楽しみ、着船場から小型チャーターバスに乗り換えて窓からの景色を眺めていたところ、上方から大観覧車が目に入り、その時私はウィーンに来たのだと実感した。
そう、1976年の1月に、東京銀座の映画館で見た1949年キャロル・リードが監督した映画「第三の男」のスリリングな場面で息をのんだ、まごう事なきウィーンのプラター公園名物の大観覧車だ。
第二次大戦後の混乱期、親友を騙して生き延びようとする大悪党のハリー(オーソン・ウェルズ)、信頼したハリーに裏切られて酒に溺れる売れない作家のホリー(ジョゼフ・コットン)、自分の命を救ってくれたホリーから愛されながらもハリーを忘れられないアンナ(アリダ・ヴァリ)。
映画のラスト・シーンは、アンナがホリーの視線を無視して昂然と頭を上げて並木道を歩き去る場面であった。



そして、私が映画を回想している間に、私たちの乗った小型チャーターバスも同じ並木道を通り抜けた。





