2010-07-01から1ヶ月間の記事一覧

84 後白河院と寺社勢力(41)寺社と商人(4)美味しい『座商人

一等地に構える京の商業街でひと際目を惹いたのは、綿座商人・小物座商人・腰座商人・符坂木村油座商人などの『座商人』であったが(http://d.hatena.ne.jp/K-sako/)、ここではその『座商人』に焦点を当ててみたい。1. 『座商人』とは 『座商人』は京で生…

後白河院と寺社勢力(40)寺社と商人(3)一等地を陣取る京商人

律令制的負担から比較的拘束されない調・庸・徭役負担者以外の家族、女性、住所不定の民、貴族・土豪の輩、農耕負担を免れている市人、宮司の下で手工業生産を行っていた織戸・漁夫・杣人などの賎民や工房奴隷的な階層から始まったとされる商人達は、荘園の…

後白河院と寺社勢力(39)寺社と商人(2)初期商人のプロフ

女商人の始まりは漁師のおかみさんが夫の漁師から魚を買って売り歩いた事から始まったとされていると前回に述べた(http://d.hatena.ne.jp/K-sako/)が、 それでは、最初に商人の世界に足を踏み入れたのはどういう人たちであったのか。 昭和36年6月刊行の…

後白河院と寺社勢力(38)寺社と商人(1)京の女商人

「秋の日に都を急ぐしずのめが帰るほどなきおほ原の里」これは拾遺愚草に納められた藤原定家の歌であるが、幽玄な恋を謡う名手の目にも、商いを終えて薪や炭を頭上に載せて家路を急ぐ大原女は印象深かったのであろう。 平安時代の女商人の象徴ともいえる大原…

後白河院と寺社勢力(37)僧と女高利貸の近接〜聖か俗か?

中世に関する書籍を手にすると「中世には女性の金貸が多かった」とか「寺社と女性と金融・商業は相性が良い」といったフレーズに度々遭遇する。女性が虐げられた封建制度下で、実力行使を伴う債権取立を当然視する「自力救済」の時代に、高利貸の女性が多か…