2010-08-01から1ヶ月間の記事一覧

後白河院と寺社勢力(45)商品流通と政治権力(3)菓子2 抗う者

琵琶湖畔の淡水魚を捕魚する漁師を京の六角町に呼び寄せ、供御備進の見返りに営業税を課して洛中の販売独占を与える 「六角町生魚商人」を組織した御厨子所が、更なる支配拡大を目論み、諸国から鳥、精進菓子(果物・雑采)を売買する商人を京の三条以南に招き…

後白河院と寺社勢力(44)商品流通と政治権力(2)菓子1 官の思

1.「三条以南都鄙供御人等」の意図 建久3年頃(1192)、源平争乱に伴う混乱から朝廷への生魚の調達に支障を来たした事に頭を痛めた御厨子所が、近江の琵琶湖畔の粟津・橋本で淡水魚を捕魚する漁師を京の一番繁華な六角町に呼び寄せ、朝廷への生魚供御…

後白河院と寺社勢力(43)商品流通と政治権力(1)生魚

中世初期商業を担った供御人・神人・寄人たちは、扱う商品が持つ固有な特質に強く拘束されていたばかりか、「商品流通」の支配を目論む政治権力との葛藤もからんで、近世商人にはみられない独特の行動を展開することになる。代表的な商品を通してその有様を…

後白河院と寺社勢力(42)寺社と商人(5)『座』と寺社

1.寺社を本所とする座 中世全期に亘って商業活動の前線で活躍した「座商人」は、宮中御厨子所に属して食物(魚介・果物・獣肉・野菜その他)や炭、薪などを献納する供御人が、朝廷の庇護を背景に組織して始まったが、鎌倉・南北朝時代を経るにつれて、大寺…