映画「サブウェイ」はパリの地下鉄構内を住処として、風変わりだが自由気ままに生きる人達を描いたリュック・ベッソンの1984年の監督作品である。
えっ、パリの地下鉄構内で暮らす人がいるの?それが、いるんですよね。金髪にタキシードを着こなした長身のカッコいい若者、ローラースケートを縦横に乗りこなす若者、日夜ボディビルに励む筋肉マン、花売り男など、一癖も二癖もある面々が、迷路のように張り巡らした地下溝の奥深くで、強烈な存在感を発揮して生きているのだ。
映画は、クリストファー・ランバート扮する金髪の若者とイザベル・アジャーニ扮する裕福な事業家の妻との恋を絡め、奔放に生きるサブウェイの面々と世間体を繕うブルジョア階級を対比させながら、恋あり、犯罪あり、追跡あり、地下鉄でのコンサートありと、パリという大都会で展開する大人のおとぎ話を、軽快なロックミュージックを背景に、テンポよく展開する。
パリの地下をテーマにしたお話といえば、今でも超ロングランを誇るミュージカル「オペラ座の怪人」の原作があるが、地下を舞台に華麗な物語を創り上げたフランス人はなんとも素晴らしい想像力を発揮してくれるではないか。
また、商売に長けたアメリカ人は、正に「サブウェイ」と呼ぶサンドウィッチ・カフェを瞬く間に世界展開したのではなかったか。こちらは商才に脱帽だ。
東京もパリやニューヨークに劣らぬ、いやそれ以上に華やかで、近代化された地下鉄や地下街を装備した大都市だ。この世界に誇る東京の地下ワールドをテーマに、誰か心時めく物語を作ってくれないものだろうか(写真はプログラムから)。