2010-01-01から1ヶ月間の記事一覧

後白河院と寺社勢力(18)国守の受難(1)朝廷に訴えられる尾張守

本来なら律令国家の忠実な地方官僚として地方政治に携わっていた国守(受領)であったが、中央貴族が地方政治を省みなくなり国守に丸投げしたため、国務請負人たる国守としては、摂関家に独占された中央政界への出世の道も望めず、その特権的な地位を利用し…

後白河院と寺社勢力(17)成功(※1)というの国守の買官運動

長和5年(1016)7月20日の深夜藤原道長の住まいである土御門邸が周囲の2百余軒と共に全焼し、その報を聞きつけて公卿を始め諸国からも受領(国守)たちが続々上京して道長を見舞った。 そして道長は直ちに土御門邸再建の計画を立てて8月19日には…

後白河院と寺社勢力(16)国守から寺社権門に逃れる理由(わけ)

さて前述した「猫怖ぢの太夫」藤原清廉(http://d.hatena.ne.jp/K-sako/)の息子実遠(さねとう)は在地では猛者として知られ、その威力を発揮して父から相続した大和・山城・伊賀の領地の人間をまるで従者のようにこき使って資産を肥やす一方で、国守に対し…

後白河院と寺社勢力(15)国守(8)猫攻めで藤原清廉から徴税した

「今昔物語第 巻第28 本朝付世俗 大蔵の太夫藤原清廉、猫を怖ぢたる語(こと)」 今は昔、 大蔵省の三等官を務めて従五位下を授けられ大蔵の太夫(※1)と呼ばれる藤原清廉(きよかど)という者がいた。 その男は前世が鼠だったのかと思われるほど猫を怖が…

後白河院と寺社勢力(14)国守(7)「寸白が信濃守に任じて解け失

「今昔物語 巻第28 本朝付世俗 寸白(※1)、信濃守に任じて解け失せたる語(こと)」 今は昔、 お腹に寸白を持つ○の○という者の妻がいた。その女が懐妊して男の子を生み、その子を○と名付けたが、成長して元服の後に官位を得て、遂に信濃守となった。 さ…