今回のニューヨーク旅行に、ニューヨーク証券取引所の見学を組み込んだのは、その当時日本のマスコミが囃し立てた「財テク美人」ブームが物語るように、この頃から日経株価は1989年12月29日の終値38,915円に向かって一直線の勢いで上昇し、男性だけではなく、女性の間にも投資熱が蔓延し、「だったら、この機会に、資本主義経経済の総本山、ニューヨーク証券取引所の活気を直に感じたい」と思ったからである。
さて、その取引所見学当日、ウオールストリートに面している見学者入り口は、大して広くもない通りの反対側まで伸びる長蛇の列で、その見学者の国籍の多様さからニューヨーク証券取引所というものの威力を再認識しただけでなく、私たちの前に陣取ったイタリアの男子高校生の一団を目にして、もし修学旅行の一環なら日本の高校教育とエライ違いだと思った。
また、私達を含む多くの見学者を誘導する「証券取引所会員」を示す腕章を巻いたスタフ達からは「自分達は世界の中心で働いている」というプライドが感じられたのも忘れがたい。
さて、証券取引所内の一段と高い見学者席から私達が見たのは、電光が激しく点滅する多数のパネルであり、さらにはブースの廻りで大きく手を振りながら「売れた!」「買った!」と、大声で同僚に伝える仲買人たちだった。
そんな光景を目の前にして、見学している私達も思わず興奮してしまった。
ところで、私がスタッフにトイレの場所を尋ねたところ、彼は身振り手振りで場所を示しながらトイレの鍵を渡してくれた。
この時、私は、「安心と安全性」に対するニューヨークと東京の意識の差を知ったのだった。
写真はニューヨーク証券取引所で買ったロゴ入り名刺入れ。
