隠居Journal:神保町と私(3)回想(3)2009年1月:八木書店で懐と相談

ブログで「後白河院」についてあれこれ書きまくるという、年来の課題にやっと踏み出したばかりだが、頭の中が煮詰まってきたので、何か材料はないかと久しぶりに神保町に足を向けた。

世界はリーマンショックに打ちのめされ、我が国では消費者が節約と引き篭りで商品がさっぱり売れないと小売業者を嘆かせるこのご時世、さぞかし神保町も人出が少なく、暗い雰囲気に包まれていると思いきや、

地下鉄神保町駅を下車して靖国通りに出れば、老若男女入り混じった結構な人出、店頭に山積みされた安売り本を丹念に選んでいる人たち、店内の書棚をじっくり眺めている人たちの表情がゆったりしていて、なんとも言えないいい雰囲気だった。それに、道を行き交う人々も肩をすぼめて歩いていない。

私も、そんな老若男女の一員になって、専修大学交差点から駿河台交差点間の書店を、一軒、一軒足を止めて、山積みの安売り本をひっくりかえし、店内の書棚もじっくり観察して、掘り出し物探索に熱が入る。

で、最後は何時も入る日本古典文学の品揃えが充実している「八木書店」の二階に上がって物色する事に。

 

 

後白河院が著した「梁塵秘抄」に関する喉から手が出るほど欲しい本が3冊目に入ったが、値段が7千円台と5千円台、年金生活者にはちょっと懐が厳しいので、残りの一冊の2,110円の尾崎左永子著「梁塵秘抄漂游」を買う。

 

 

早速スタバに入ってページを捲ると、後白河院人間性梁塵秘抄のイメージを膨らませてくれる格好の本である事が判明。

 

平成6年出版のこの本の定価が2,300円、そして古書として私が支払った価格が2,110円、著者に敬意を払える安過ぎない価格がいわく云い難い。

都心の大型書店、近所の書店、そしてbook-offでは入手困難な古書を神保町でなら見つけることができる。私のようにマイナーな領域に関心を持つ本好にとって神保町はかけがえの無い場所である。

そうそう、安売りの山の中から小山靖憲著「熊野古道」を買った。200円。