隠居Journal:神保町と私(4)回想(4)2009年5月:定額給付金で身に過ぎたる古書漁り(1)

GW明けにリーマン・ショック定額給付金(※)確定通知書なるものが届く。それによると2、3週間後に指定した口座に私の場合は1万2千円也が振り込まれるそうだ。

 

(※)リーマン・ショック定額給付金

日本政府はリーマン・ショック後の2009年(平成21)、外国人を含む住民基本台帳に記載された全員を対象に定額給付金を支給した(総支給額1兆9367億円)。所得水準に関係なく、1人当り1万2000円を支給し、18歳以下の子供と65歳以上の高齢者には8000円を加算支給した。

 

私は、かねてから、定額給付金の使途は神保町で古書漁りと決めていたので、炎天下にも拘らずマチ付のエコバックを携えて地下鉄に乗り、神保町駅の一つ手前の大手町駅で下車して、お堀沿いから駿河台下を目指してテクテク歩く。

 

最初のお目当ての店は、駿河台下に近い「八木書店」二階の古典文学コーナー。お店の入り口から一気に階段を登り、お目当ての書棚を見るとありましたよ『女と子どもの王朝史』。

よくぞ残っていてくれた、というよりも、高すぎて買う人が居なかったといった方が正しいか。何しろ売値が2740円なのだ。

実は、私は今から二ヶ月ほど前にこの本を手に、「矯めつ、眇めつ」した挙句に懐が寒くて諦めたのだった。

しかし今は定額給付金支給のお陰で「にわか長者」の気分だから懐に余裕がある。ついでに『女と子どもの王朝史』の隣に並んでいた『王朝貴族の病状診断』も一緒に買うことにした。

 

 

院政期探索者」を自認する私にとって、この2冊は、院政期の王朝貴族の暮らしを知るにドンピシャの本だ。で、こちらの売値が1790円で合計で4530円。有り難いことにカード決済が可能だった。

 

お次のお目当ては水道橋駅近くのやはり日本古典文学に強みを発揮するおなじみの「日本書院」。

 

しかし、駿河台下から水道橋駅近くまで一気に歩くとさすがに汗が出る。

 

「日本書院」では、『国文学=解釈と鑑賞』、『國文学』のバックナンバーがずらっと並ぶ棚を、埃で指を真っ黒にしながら掻き分け、掻き分けて、差し当って三冊を選んだ。こちらは〆て1100円で現金払い。

 

 

さっそく「日本書院」近くのカフェ「エリカ」に腰を下ろして本日の収穫物をテーブルに並べてページを捲る。これが古書狂いの何ともいえない「幸せなひと時」なんですよね。残念なことにあんなに通った「エリカ」は2019年に閉店して寂しい限りです。