2015-01-01から1年間の記事一覧

ホーチミンシティの親子、ホーチミンシティ回想(1)

1) アトリエから:ホーチミンシティの親子前回は2007年のツアーで訪れたホーチミンシティの女露天商を描いたが、今回は同じツアーでバスの窓越しに観た親子を描いてみた。(1)親子ビジネス (ホーチミンシティの親子ビジネス)私たち日本人のバスに…

新古今の周辺(14)鴨長明(14)歌こそ命!で90歳の長寿

鴨長明は『無名抄』で「歌こそ命!」と全身全霊を歌に注いで90歳まで生きた老法師のありさまを「63 道因歌に志深きこと」で次のように活写している。「歌道への志の深さにおいては道因入道(※1)に並ぶ者はいません。入道は70〜80歳になるまでは「…

ホーチミンシティの女露天商、女性素描競作

1) アトリエから:ホーチミンシティの女露天商 (ホーチミンシティの女露天商)大して期待もしないで足を運んだ「パスキン」展だったが、女性を魅力的に描く彼の表現力にしばし足を留めてしまった。色彩も素晴らしかったが絵具の下から透けて見える素描か…

新古今の周辺(13)鴨長明(13)歌合(5)狼藉なる会

さて先回の優雅な歌合に対する見苦しく騒々しい歌合とはどのようなものであった、これも俊恵の言葉を借りて長明は『無名抄』で次のように伝えている。54 近代の会狼藉のこと「最近の歌合に連なってみて思う事は、先ずは会場の設営から始めると、参加者の衣…

青山橋、色みの合算、孤独・困窮・狂気の痕跡

1) アトリエから:青山橋 根津美術館の出口に面した通りを乃木坂に向かって歩いて出遭った青山橋。陸橋だがくすんだ緑のスタイリッシュなデザインが何故か絵心をくすぐる。2) 水彩絵具学(3)色みの合算 1.同じ色相同士の混色は他の色みの影響が薄ま…

新古今の周辺(12)鴨長明(12)歌合(4)優なる会

歌合も様々で、長明は優雅な歌合のありさまを師の俊恵の言葉を通して「無名抄 53 範兼の家の会優なること」に次のように伝えている。俊恵が語るには「宮中や摂関家などで催される晴れの場の歌合を別にすると、優雅さにおいて、近ごろでは範兼卿(※1)の家…

安納芋 混色理論

1) アトリエから鹿児島県種子島産の安納芋(あんのういも)を水彩絵具とパステルを用いて描いてみた。 安納芋は薩摩芋の一種で甘さが際立っていて、一番おいしい食べ方は天ぷらや焼芋だが、私は黒砂糖を少し入れてコンポートにして、シナモンパウダーをた…

新古今の周辺(11)鴨長明(11)歌合(3)判者の依怙贔屓

歌合に判者は不可欠だが、どんな名判者でも依怙贔屓をすることを、鴨長明は当時の歌人・顕昭(※1)の言葉を用いて『無名抄 61 俊成・清輔の歌の判、偏頗あること』で次のように伝えている。「この頃の歌合の判者として俊成卿(※2)と清輔朝臣(※3)は並ぶ…

セロリ、勝鬨の橋歩道 3原色応用の6色絵具

1) アトリエから(1) セロリ 水を張ったガラス瓶にセロリを挿してみた。ガラスを通して見える筋の美しい事。(2)勝鬨橋の歩道 勝鬨橋のアーチが途切れる付近の歩道の光景は直線美に満ちている。 2) 水彩絵具学(2)3原色理論応用の絵具 さて、純粋…

新古今の周辺(10)鴨長明(10)歌合(2)俊恵の歌林苑

俊恵は洛北・白河の僧房で歌林苑と名付けた歌合を月毎に催していた。そこには官位の低い僧侶・貴族・女房などが集って親密な雰囲気に包まれていたとされ、会衆の一員だった鴨長明は『無名抄 14 千鳥、鶴の毛衣を着ること』でその場の雰囲気を伝えている。…

3原色と水彩絵具、東山魁夷の絵具箱

1) 水彩絵具学(1)3原色と水彩絵具どんな色を混ぜても作ることのできない赤・黄・青を3原色といい、この3原色があれば色を無限に作ることが出来るという「3原色理論」は学校で習った。 さらに、赤と黄を混ぜると橙、赤と青を混ぜると紫、黄と青を混…

新古今の周辺(9)鴨長明(9)歌合(1)長明の受難

およそ2千首に近い歌を20巻に収めた『新古今和歌集』の成立において、平安初期以来宮廷・貴族から長明の師・俊恵のうらぶれた僧房にいたる幅広い人々の間で盛んに催された歌合(うたあわせ)の果たした役割は大きい。歌合は歌人を左右に分け、彼らが詠ん…

橋の絵の前で足踏み 再び氷雨にもめげず

1) 橋の絵の前で足踏み私は勝鬨橋から隅田川を眺めるのが大好きなので風景を描くなら最初は「勝鬨橋」と決めていた。で、ハガキサイズ、F1サイズ、F4サイズと大きさを変えて鉛筆スケッチを重ねて、いざ色を乗る段階で足踏みすることになった。 ハガキ…

新古今の周辺(8)鴨長明(8) 師・俊恵(4)後鳥羽院のお墨付・

『新古今和歌集』のパトロンであり、かつ、事実上の編集者であった後鳥羽院は、歌論集『後鳥羽院御口伝』で源経信・俊頼・俊恵に至る三代の歌人を高く評価し、近き世の歌の上手について述べる導入部に俊恵の祖父・源経信を挙げ、「大納言経信(※1) 殊にた…

私はどれでしよう、楽屋裏のドラマ

1) 自画像事始め:私はどれでしよう? 「自画像は顔に自信のある人が描くもの」と思い込んでいたが、絵に造詣の深い友人の奨めで2B鉛筆を手に「自画像5分間スケッチ」を試してみた。顔を映した姿見と描く距離によって表情が異なる事、また、スケッチブ…

新古今の周辺(7)鴨長明(7) 師・俊恵(3)父・源俊頼を語る

鴨長明は彼の歌の師・俊恵が偉大な歌人であった父・源俊頼について語った話を『無名抄』にいくつか記しているが、その中から一つ紹介したい。27 貫之・躬恒(みつね)の勝劣「歌人でもあった三条太政大臣藤原実行(さねゆき)公が検非違使別当(※1)を勤…