独り善がり読書(21)2007.7.25 中国を多面から読む(2)「ニューズ・ウィーク・アジア版」と「日本経済新聞」から

(1)「ニューズ・ウィーク・アジア版」から

 

 このところ、「ニューズ・ウィーク・アジア版」が中国を扱わない週はないのだが、その中から、日本のマスコミからは見えてこない幾つかを紹介。

 

 ① 2007年6月4日号

  

 

 

 この記事は、「多くの国が近い将来中国がアメリカを凌ぐと予想しつつも、それほど脅威と感じていない」と、最近の国際世論調査の結果を紹介している。そして、これは、中国首脳の数年にわたる努力の結果が報われているとも。しかし、中国を信頼に足りる国かといえば、まだまだ多くの国は警戒心を抱いている。

 

 

 ところで、この記事で私が特に興味を抱いたのは、今や世界の多くの人々が、近いうちに中国がアメリカの国力を凌ぐと予想しているのに、肝心の中国の人たちは、自分たちの将来を、さほど楽観していないことである。そして、小見出しで、「平均的な中国人は私たちが知らない事を知っているからか」と投げかけている。

 

 

② 2007年6月11日号

 

 

 この記事では中国の深刻な水質汚濁を取り上げている。中国は、黄河揚子江を初め、幾つもの大河に恵まれ水の問題はないと思われそうだが、水質汚濁は、先ず、大河の注ぐ海の生物の生存を脅かし、さらに、工業排水、農薬の垂れ流しで、日常の飲み水までが危機的な情況にあると伝えている。国はそれを把握しながらも、経済成長を低下させる事が出来ないので、益々水質汚濁を深刻にせざるを得ないジレンマを抱えているとも報じている。

 

(2)「日本経済新聞」から

 

 ①2007年6月21日 

 

 

 子供たちを誘拐して強制労働させる実態が、中国でやっと社会問題化しつつあるようだが、私は「文明の自殺~逃れられない中国の宿命」黄文雄著を読み始めていたので、なるほど、ありうることだと妙に納得してしまった。

 そういえば、先日のNHKスペシャルでは「嫁不足の寒村が、村ぐるみみの企みで貧しい家の娘を誘拐して嫁にする」実態を報じていたが、同じ国の人間を食物にしてはばからない心情は中国では珍しくないようだ。

 

これらは、長い間国策で「一人っ子政策」を押しつけた結果であり、一人っ子を強制されるなら男児出産優先を積み重ねた結果でもあると私は思う。

 

 ②2007年6月21日夕刊

 

 

 株式に狂奔する上海市民を報じている記事ですが、ここで改めて説明する必要もないくらい最近のメディアでは、おなじみの現象です。

 

 ただ、私が、彼らを、「欲に惹かれて」とか、「金の亡者」と、一言で切り捨てる気がしないのは、世界でも稀な急激な経済変動の大渦に否応無く巻き込まれ、心を互いに繋ぐ文明・伝統も破壊され、社会保障制度も未整備で、さらに国家を信頼できないとなれば、目の前でとにかくお金が増える現象があるのだから、それに狂奔するのも致し方ないのではと思う。願わくば、彼らが、大火傷をしなければ良いと思うが、多分、するでしよう。