今回のサンフランシスコでの宿泊は、日本での西海岸旅行ガイドブックの中から、当時大流行していて、私が大好きなイーグルスの歌のタイトルと同じ「ホテル・カリフォルニア」を選んだ。
このホテルは星が付いていないので価格が割安で、しかも、ダウンタウンの交通の便利な場所にあって、あちこちの観光地巡りのスタート地として大いに役立った。
さらに、そのホテルに併設されていたダイナー(典型的なアメリカの食堂)で提供されたハッシュドブラウンポテトの香りと味が忘れられないものとなった。
私は帰国後に自分であの味と風味の再現を何度も試みたが一度も成功しなかった。
そのダイナーは、ホットプレートを組み込んだコの字型のカウンターを取り囲むように椅子が配置され、カウンターの内側では、30代前半と思えるショートカットの女性がエプロン姿で甲斐甲斐しく一人で全てをこなしていた。
私の見たところ、顧客は、私たちのようなこのホテルの宿泊客と、通勤途中で朝食に立ち寄るビジネスパーソンで占められ、ビジネスパーソン達は、朝刊とシステム手帳を目の前に広げてその日の仕事の準備をしつつ、トースト、ハムエッグ、コーヒー等で朝の一時を過ごして職場に向かうようだ。
当時の私は、肩パット入りのスーツにパンプス姿のキャリアウーマン気取りで働き、通勤途中に職場近くのカフェで彼らと同じような朝の時間を持っていたので、そんな情景に近しさを覚えた。