1979年のGWに、友人と私は中華航空の成田~ロスアンゼルス間の格安往復チケットを活用して2度目の西海岸旅行に出かけた。
そして、ロスアンゼルスのホテルに手荷物を預けて、翌日のサンフランシスコ便の確認のために旅行会社に立寄ったのだが、スタッフから利用予定の航空会社がストに突入して収束の見通しが立たない事を知らされて互いに顔を見合わせて言葉もなかった。
そんな私たちに、鮮やかなオレンジと白のストライプのシャツカラー・ワンピースに、ゴールドのイヤリングとブレスレットで決めたハイヒール姿の30代と思しき担当者は「お手持の搭乗券に幾らか上乗せすれば別の航空会社のファーストクラスが利用できます」と提示してくれ、上乗せ額がそれほど高くなかったので私たちはこの案を受け入れて難局を乗り切ることが出来た。
待ち行列なしの最優先の乗降、ゆったりと心地良い座席、香り高い飲物、丁重な客室乗務員のサービス、到着地での待ち時間なしの手荷物の受け取り、などの特権を味わい1時間足らずのフライトはリッチな気分に満たされたのだった。
しかし、今でも鮮やかに蘇るのは、当時の日本の野暮な制服の若い女性で占められた旅行会社の窓口と比べて、洗練された装いで、広い裁量を与えられ、年齢どこ吹く風と、アメリカの旅行会社で活き活きと働いていた女性たちの眩しさである。