独り善がり読書(4)ヒラリー・クリントンの置き土産「The White House Collection of American Crafts」

もう30年以上前のことだが、私は、アメリカが本拠地の書籍割引販売を売り物にした「Book-of-the-Month-Club」の短期間会員だった事がある。

 

その仕組みは、自宅に二ヶ月に一度の頻度でカタログが届き、その中から気に入った本を選び、申込書を航空便で送れば、注文した本は船便で届くという、まことにのどかな時代であった。

 

このクラブは、販売促進策として、例えば、ハードカバーを三冊購入した実績があれば、数ドル支払うだけで、比較的高価な装丁の美術書等を指定のリストから選べるという特典を設けていた。

 

「The White House Collection of American Crafts」は、その特典で入手した一冊で、ホワイトハウスのあちこちの部屋に飾られていた作品を元に、クリントン大統領の夫人で当時のホワイトハウスの女主人であったヒラリー・クリントンが編集したものである。

 

作品の中に日本の志野茶碗も見られるが、主として1990年代前半のアメリカ人の作品から選ばれ、ガラス、金属、陶磁器、繊維、木、と、材質別に美しい写真が配置されている。

 

 

 

 

このアルバムは、ヒラリー・クリントンの好みが反映されていると言えなくも無いが、私にとっては、アメリカの、ある時代の現代美術を知るに格好の一冊でもあった。