独り善がり読書(7)「ルービン回顧録」~官民の人事交流、日米の違い

2005年11月頃に「ルービン回顧録」を読んだのだが、著者のロバート・ルービン氏は、ウオールストリートのトップ企業ゴールドマン・サックスの共同経営者から、クリントン政権発足に伴い新設された国家経済会議の議長に就任し、その後財務省長官を務め、メキシコ危機、タイ・韓国で起きたアジア通貨危機、そしてロシア危機と幾多の世界経済危機を乗り切って、「アメリカ始まって以来の名財務長官」と称された。 

 

 

 アメリカでは、大企業の経営者が政権のスタッフや閣僚に頻繁に就任するが、その殆どは共和党政権に参加する。しかし、ルービン氏は富裕でありながら、政府が継続的に貧困対策を重視し、国家予算を割くことは、アメリカ経済と社会の安定に不可欠であるという固い信念に基づいて、民主党の支援活動を一貫して続けていた。

 

私は、この本を読んで、ホワイトハウスの運営がどのように行われているか、とりわけ、若くて優秀なスタッフがどのようにしのぎをけずって、アメリカの国益のため、それぞれのキャリアの為に、職務を全うしているかを知ることが出来た。

  

そして、何よりの収穫は

  • グローバル経済とは、一国の経済危機はその国だけにとどまらず、世界の経済システム全体を揺るがすという事、
  • 私達は、世界経済が極度に密着している時代に生きていること

を、知ったことである。

 

今や、どの国においても、官も民もグローバル経済の影響を受けずにはその存在は成り立たない。ましてや、日本のように多様な角度から改革に直面している国では、市場を熟知した人間が、どんどん官界や民営化企業のトップに就任し、逆に若手の官僚が頻繁に民間企業と行き来できる柔軟な人事体制を採るべきだと、この本を読んで私は思った。

 

とは言うものの、この本は540ページに及ぶ大作で、しかも、図書館で借りていたので返却日が迫り、やっと380ページに達したところで中断しなくてはならなかった。