82歳の追想 (11) バロック街道とドナウ川周遊旅行 1995 ⑪ ハンガリー国立歌劇場で「カルメン」を

 

今回のハンガリー訪問では、オプショナルにオペラ「カルメン」の観劇が組み込まれており、オペラにそれほど馴染んでいない私でも「カルメン」は理解できるので、ツアーメンバーと共にハンガリー国立歌劇場に足を運んだ。

 

スペインを舞台にした「カルメン」は、ジブシー女のカルメンと、竜騎隊伍長のドン・ホセとの恋愛悲劇を描いた物語だが、曲芸や踊りや音楽などで移動生活を続けるジプシーはスペインやハンガリーなどに土着していて、むしろ、ジブシーの本場で独特の空気も感じられて良かった。

 

正直に言って、私は、この時まで、ハンガリーでこれほどオペラが普及していて、さらに、これほど華麗な国立歌劇場まで設営していることを知らなかった。

 

そして、休憩時間に、一階ロビーでツアーメンバーとワインを啜りながら周囲を見廻して、着飾った男女がグラスを片手に語り合う姿をながめて、王朝時代のサロンの名残を感じたのだった。

 

そして、あれから30年を経た2026年の6月に

 

6月28日には 大宮ソニックシティ 大ホール

6月30日には 東京国際フォーラム ホールA

 

で、ハンガリー国立歌劇場がモーツアルトの「魔笛」を公演するという、華やかな新聞広告を目にすることになるとは。しかも、大宮ソニックシティでの公演では、公演2ヶ月前には、既に残席僅少になるほど日本で人気があったとは。

 

(2026年4月30日朝日新聞夕刊から)