牛筋と葱のお好み焼

阪急グループが支配する梅田側がピカピカなのにJR大阪駅側が薄黒くすすけていた頃の冬の日、乗り継ぎの合間に腹ごしらえをしようと、そのくすんだビルの地下の飲食店街に足を踏み入れた。

薄暗い迷路のような一角に目を凝らすと「牛筋と葱焼」の文字が目に留まり、醤油で煮しめたような色のカウンター席で熱々のそれをほおばった。トロトロに軟らかく煮こんだ牛筋の甘辛い味が葱に絡まって何とも忘れがたい逸品になった。

今でもスーパーでトロトロに煮込んだ牛筋が目に入ると葱を買ってお好み焼にする。