隠居のHarvard Summer School 留学記(19)

2004年7月30日(金)
ドロップアウト

パリから仕事を抱えて参加していた美しい日本人女性は遂にドロップアウトした。仕事と授業を両立させることの難しさを彼女は事前に予想していなかったようだ。それは私も同じで、授業の合間にのんびりボストンやケンブリッジ巡りを楽しめるかと思ったが、甘かった。

ドロップアウトといえば、ワークショップで一緒になる、Mo先生のクラスのかわいい韓国人女性と、「憂いに満ちた美人」と私が密かに名付けていた台湾の女性も姿を消した。どうやら学校側から「辞めてほしい」と言われたようだ。二人とも良家の子女といった趣があったが、アグレッシブなクラスの雰囲気に圧倒されたのであろうか。特に韓国の女性はいつも静かに片隅でうつむいていたのが印象的で、グループ討議で一緒になったとき、ずっと黙り込んだ挙句、やっと口を開いたと思ったら、教材に出てくる単語の意味を一つ一つ質問されて、これではとても授業にならないと、さすがの私も困った事がある。

また、家庭の事情で突然帰国した台湾人の高校の女教師と、ベトナム人の大学教授は、帰国したその時点で退学の扱いであった。サマースクール期間が約2ヶ月あれば、日本の一般的な考え方からすると、1週間くらい家庭の事情で一時帰国しても、復学は問題なく受け入れられると思う。学生の多くは、高い授業料を払い、はるばる海を渡って、学校や会社を辞めるなり、長い休暇を申請して参加しているのだ。

しかし、実際のところ2日も授業を休むと、チーム中心の課題や課外活動が多いので、チームメートに迷惑をかけると共に、さらに、休んだ間の遅れを取り戻すのは並大抵ではなく、畢竟ドロップアウトするしかないのであろう。

後日談になるが、東京で寮仲間と飲み会をした時、英語研修プログラム(レベルE〜A)の学生で15人がドロップアウトした事がわかった。大半は、学校側から辞めるように説得されたのだと、16人目になりかかった男性が教えてくれた。

写真はキャンパス内のセム族をテーマにした、Semitic Museumの外観(上)と展示(下)

 


2004年8月1日(日)

【ああ、発音】

今日の夕食後は、ラモンド図書館の別館にあるランゲージセンターで発音の練習をしてみよう。これまでのプレゼンで、私の発音はわかりにくいと毎回指摘されてきた。また、Ma先生からも「Kazuは日本人特有の発音の弱点を持っている」とも言われてきた。このあたりで一度正しい発音がどういうものか知っておく必要があると考え、日本人の弱点に重点をおいた発音練習テープを、幾つかMa先生からリストアップしてもらった。

ラモント図書館はたしか夜10時まで開いていると思って、一昨日の金曜日の夕食後に足を運んだのであるが、既に閉館になっていたのだ。どうやら、Harvardは、週日は猛勉強し、週末はしっかり休め、と、いう方針らしく、図書館に関しては、月曜日から木曜日は夜10閉館、金曜日は夕方5時閉館、土曜日は休館、日曜日は午後2時開館で夜10時閉館である。

一般的に、イタリア人と日本人は、英語の発音に独特の弱点を持っているといわれている。確かにイタリア人の発音はローマ字読みである。そして日本人はどうかといえば、発音の授業で分かってきたのは、LとRの発音の区別が出来ないだけでなく、NとMのの区別や、Gの鼻濁音が中々出来ない事もわかってきた。

私に関してはイタリア人同様にローマ字発音の上に、Gを含む単語では単音節の場合は発音しないが、2音節以上は発音するといった発音ルールを全く理解していない事を認識した。発音ルールについてはその他にも、例えばTやDやBの様に、発音しない場合と発音する場合があるとか、単語のスペルが同じでも名詞と動詞ではアクセントの場所が異なる場合があるとか、際限が無いくらい多い事を知った。それでも、これらは、英語のイロハであるが。

ランゲージセンターの入っているラモント図書館