独り善がり読書(19)2007.7.20「週刊東洋経済」から 所得再配分が後手に廻る中国

 中国は私にとって相変わらず関心の的であるが、それも、高い経済成長率といった表面的なものではなく、その高い経済成長率の内側で、一般の人たちはどういう状況に置かれているかについて、知りたい気持ちの方が強い。

 

で、今回も「女性と仕事の未来館」のライブラリーで「週刊東洋経済」7月14日号から「膨大な経常黒字の背景に国内所得再配分の遅れ」の見出しで格好の記事を見つけた。

 

 

 この記事は、「中国動態China Watch」がCitibank中国エコノミストの分析をベースに展開したもので、中国は家計も政府も貯蓄過剰だが、それは、「社会保障など所得再配分が後手に廻っている」からと指摘している。

 

以下は私の読書ノートから

 

(1)日本と中国の台頭プロセス

 

○共通点:高度成長期を高い投資で支えた。

 特に中国は2005年のGDPに対する固定資本形成比率は40%になる。

 

○相違点

 ①海外需給への依存度(輸出-輸入)

  ・日本は1985年の日米経済摩擦が頂点の時ですら15%未満だった。

  ・中国は改革解放以降増加の一途を辿り2006年では35%以上。

 

 ②経常収支(輸出-輸入)=貯蓄

  2003年以降、中国政府及び中国の家計は貯蓄過剰の状態にあるが、中国政府は

  その過剰貯蓄を日本のように社会保障など国内の所得再配分にまわしていない。

  具体例を挙げると、

  ・義務教育は無料化になっていない(やっと農村のごく一部で着手)、

  ・国民の半分に医療保険が無い、

  ・年金問題が大幅赤字(2005年は8000億元の赤字、さらに年金基金横流

   しも横行)、

  ・公務員の給与が低いから汚職が横行、

 

【私の読後感】こう言う状態では、中国国民としては、老後どころか、一年先の生活も不透明で、彼らがひたすら貯蓄に励むのも仕方が無いのではないか思ってしまう。