反グローバリズム〜EU離脱へ(1) 

(1)反グローバリズム闘争

2001年5月1日にLondonのホテルで宿泊手続きを終えた友人と私は荷物を部屋に放り込み、いざ、ブランド・ショッピングをと意気込んでリーヂェント・ストリートに足を踏み入れたのだが、どの店舗も申し合わせたように頑丈な板囲いで覆われて買い物が出来る状況ではなかった。

出鼻をくじかれた私たちは、先ずは情報収集をと開店しているカフェに腰を下ろして店内の会話に耳を傾けていると、その夜に反グローバリズムの大規デモが予定され、首相官邸やリーヂェント・ストリートがデモ行進の対象になっている事が分ってきた。カフェの外に目をやると帰宅を急ぐ人たちが足早にバス停や地下鉄駅を目指している。

仕方なくホテルに引き返して1階カフェの窓際で夕食を摂っていると、隣接する地下鉄のグリーン・パーク駅からどんどん黒い人影が現れ、目の前のグリーン・パークに吸い込まれていく。デモの集合場所がグリーン・パークになっていたのだ。

その夜はすることもなく友人と部屋でテレビを見ていると、ヘルメットと覆面で顔を覆ったデモ隊とジュラルミン製の楯で武装した機動隊が角突きあわせて揉み合う姿や、道路の敷石を剥がして怒号と共に機動隊に投げつけるデモ隊の姿が生々しく映し出され、当時ヨーロッパを席捲していた反グローバリズム闘争の激しさをまざまざと見せつけられたと共に、日本でいかに自分が平和ボケであったかを思い知らされた。