描く人願望(4)「お絵描き帳」’74長崎 早朝のホテルの窓から

 当時30歳の私は気持ちだけはやる気満々のOLで、朝5時半には起床して300CCの牛乳、ゆで卵1個、トースト2枚のヘビーな朝食で体制を整えて始業1時間以上前にはオフィスに到着し、「静かだと仕事が捗る」などとうそぶいていたのだった。
  
 で、この日もホテルで5時に眼が醒めてしまい、片や、友人は白河夜船。なすすべもなく窓をあけてぼんやり外を眺めていた。人っ子一人通らない静かな街のたたずまい。やがてお絵描き帳と鉛筆を取り出して描き始めた。


  
  
 そうこうしているうちに、車が一台すべるようにやって来て一軒の家の前で止まったまんま。で、私は絵の中に車を取り入れるために初めから描き直したのたが、ここまで描いて友人の眼が醒めたので絵はこのまんま。




ここでヘビーな朝食にまつわる話を披瀝すると、

 あのころ国鉄営団地下鉄春闘の時期になると年中行事のようにストライキを行っていた。立川から都心のオフィスに通う友人(旅行の同行者)はこの影響を諸に受け、私の家から出勤するために二泊した事があった。あの頃のストライキは一日では終わらなかったのだ。

 で、私は厚さ1センチのショルダーベーコンを焼いて朝食に供したのだが、それを彼女が職場の同僚に話したところ「そういう人を嫁さんにしたい」と、のたまった男性がいたのだ。