ニューオリンズ滞在二日目の昼間、私達はバーボン・ストリートの両側に建つ家々の、繊細なレース編みを思わせる鉄細工のバルコニーを眺めながら街歩きを楽しんだ。
そして、私達が、喉の渇きを癒やそうとカフェを探してショッピング・モールに向かったところ、陽気なドゥービー・ブラザーズ の曲が聞こえてきたのでそちらに向かうと、レストランの屋外テラスで4人組の若い男性バンドが演奏していたので、私達も彼らを囲むパイプ椅子の聴衆に加わる事にした。
演奏が一段落したとき、バンド・リーダーが聴衆からのリクエストを受けるというので、私はいの一番に挙手し、指名されると椅子から立ち上がり、クリーデンス・クリアウォーター・リバイバルが1969年に歌って世界的にヒットした「コットン・フィールズ」を要望した。
彼らの得意とするウエストコースト・サウンドのドゥービー・ブラザーズと、クリーデンス・クリアウォーター・リバイバルでは、余りにも曲調が違い過ぎると私は思ったが、「コットン・フィールズ」の舞台はまさにニューオリンズを中心とするルイジアナ州だから、という思いに突き動かされての事だった。
4人のメンバーは輪になってしばらく相談した後に、見事なリズムと伸びやかな歌声の「コットン・フィールズ」を演奏してくれた。
今でもニューオリンズでの鮮やかな思い出を作ってくれた、あの若い4人組のバンドには感謝をしている。