2006年6月8日付日本経済新聞の「経済教室」が、中国の経常収支黒字の膨張が、米国との経済摩擦を引き起こしているが、その主な要因に中国の家計貯蓄率の高さが挙げられると指摘している。
記事によると、中国の家計貯蓄率(家計貯蓄の可処分所得に占める割合)の推移を見ると、1995年には17%であったものが、2004年には27.9%と、実に可処分所得の4分の一以上を貯蓄に回している事になり、貯蓄率が高いと言われた日本人も仰天するくらいの高い数値である。
一体、何が、このような高貯蓄に中国人を駆り立てるのか。
「経済教室」はその要因として、
① 一人っ子政策による人口構成、
② 銀行や消費者金融などの金融制度の未整備、
を、挙げている。
そして、
①の人口構成については、
老年人口比率(15歳から59歳までの生産年齢人口に対する60歳以上の人口の比率)は、1975年に0.13から2005年には0.16と上昇し、2025年までに0.32まで上昇すると予測されている。
②の銀行や消費者金融などの金融制度の未整備については、
ローンを借りる仕組みがなければ、家や車を買うには、先ず貯蓄をすることから始めなくてはならない。
③の社会保障制度の未整備については、
老後や将来の医療費や災害などの不安に備えて、先ず貯金をと考えるのが普通である。
と、指摘している。
2006年当時の中国は、内需拡大よりも輸出依存経済で米国と経済摩擦を起こし、国民は稼いだお金を消費に回すのではなく将来への不安に備えてせっせと貯金する。
これは、かつては日本が歩んでいた道だった。中国も大変なのだとつくづく思う。