りんご描分(2)、CM撮影現場

 
1) リンゴ描分(2)

(1) シナノドルチェ

ザルに二つしかおさまらない大振りなリンゴの「シナノドルチェ」はゴールデンデリシャスと千秋を交配して生まれた。品の良い甘味と酸味が程よく調和している。名前が示すように長野県産です。



 



(2) シナノスイート

大振りだと思った「シナノドルチェ」よりもさらに一回り大きい「シナノスイート」はふじとつがるを交配して生まれた甘味が強く果汁がたっぷりのリンゴ。金太郎のほっぺのようにパンパンに張りつめた姿に愛嬌があり、こちらも長野県産。三人でやっと食べ切れる大きさです。

 




2) CM撮影現場

先回の「ロケ弁」に続いてエキストラタレントの体験談をもう少し。

初めての仕事は大手スーパーの春のセールのCM撮影で買物客に扮した事。底冷えのする1月下旬に首都圏の私鉄ターミナルの大型バスに23時集合という事で、例のごとく大きな荷物を肩に背負って9時過ぎに家を出た。

定刻に到着するとバスの中ではすでに12〜13人の同業がいて、おにぎりと温かいペットボトルのお茶で腹ごしらえをして待機の姿勢に。外を窺うと3台の大型バスが到着し、他のプロダクションからもエキストラタレントが動員されたことが窺える。

スーパーへの移動開始は12時過ぎだった。厳密なチェックを受けて、決められた通路とエレベーターで広いホールに出てパイプ椅子に座って待ちの姿勢に入るが、その数およそ50〜60人。じっとしているのが苦手なランドセルセールのCMに動員された子供たちがあちこち走り回って、まるで「深夜の運動会」のような光景が繰り広げられた。

その後、私たちはグローサリ売場に回されたのだが、そこではロケ隊がCM監督の細かい指示に従って舞台設営・照明位設定・カメラ設定を開始しており、私たちはそれらを眺めているだけ。それが終わると本番での俳優の動きを代行するエキストラタレントにシナリオ通りの演技をさせながら何度も何度もカメラテストを繰り返す。

本番で中年夫婦と娘を演じる3人のプロの俳優が登場したのが明け方の4時頃、そこで代行役はお役御免となり、その他のエキストラタレントの出番となる。私は二人のリッチな家庭夫人と思しき30代の女性と組まされて野菜売場でブロッコリーやマッシュルーム、セロリなどを手にして語らいながら買い物をする客を演じた。その間テストの繰り返しを入れても2〜3分。

全ての作業が終わってお開きになったのは朝の6時。私たちは大型バスの窓から早朝の景色を眺めながら都心に向かい、最寄駅で下車して帰途に着いたのだが、疲労感より面白い体験をしたという気持の方が強かった。

傑作だったのは、ホールで待たされて一度も出演の機会がなかったエキストラタレントの中から「このロケ隊は要領が悪い」「不公平だ」の不満が上がった事。

一山幾らのエキストラタレントは動員されれば出番のあるなしに関わらずギャラは同じなのに。