1) レッスンから
今回のデッサンモチーフは何とも懐かしい錆びた古アイロン。「このところ壁にぶつかっています」とぼやいた私に「それではこれを描いてみては」と講師が選んでくれたもの。
このモチーフのポイントはアイロンの鉄、台の木、背景のセメン、それぞれの質感と、台の白さを表現することにある。
大まかな比率を頭に入れてアイロンの大雑把な形を描く。
汚れと傷と染みが複雑に絡まった壁を背景に取り入れる。
台の木質と白さも表現できて、この時点で自分では仕上がった積りであったが、アイロンの印象がソフトになり鉄の硬い質感が出ていないと講師から指摘される。
それで、鉄の硬さ強調するためにアイロンの胴体と首に傷後を描き込み「切られ与三郎ならぬ、切られ古アイロンになってしまった」とジョークを飛ばしたが若いアトリエ仲間には通じず、代わりに「古傷だと硬い鉄でもソフトになるのよね」との鋭いアドバイスを隣人から頂戴する。目出度く完成。
2) 描かなきゃ食えないものたち
今回は趣向を変えて親子の会話シーンに見立てて描いてみた。
「勝手にしなさいよ!」と背を向ける母ピーマンと「ネー、ネー!」と追いすがる子ピーマン。
ジュニア人参「ネー、母さん、F君とS君はプレステ4を買うんだよ!!!」
母人参「そうかい。」
弟しめじ「兄ちゃん、パパの背中気持ちいいね!」
兄しめじ「うん、ずっとこうしていようよ。」
パパしめじ「フーッ、重てーなー!!!」
と、ここまで描いたところで持病ともいえる腱鞘炎が悪化して親指を使うと強烈な痛みが伴うのと歯の治療が重なって描かなきゃ食えないは中断。そこで、中締めではありませんが、これまでのスケッチから4作を一つに額装して、区主催の高齢者作品展(60歳以上)に出展した作品を披露。題して『私の元気の素』。
3) チケットの誘い(2)西洋美術館常設展
西洋美術館の常設展が65歳以上を入館料無料としているのを知ってから頻繁に(月に2回位)足を運んでいる。それまでは大掛かりな企画展ばかりに目が向いていたが、無料であれば何度も足を運んで同じ作品をじっくり観ることが出来るので絵を習い始めた私にとっては有難いのだ。そして常設展示といっても「ル・コルビジジュエ展」のようにかなりの規模で特定のテーマを選んだ企画展が含まれる事もあり「ル・コルビジジュエ展」の時は2回足を運んだ。
上図はスペインのフランコ政権下に国内に留まって制作をつづけたアントニ・タビエス、アントニオ・サウラと、ニューヨークに渡って活動を展開したエステバン・ビセンテホセ・ゲレーロの作品を対比した「内と外=スペイン・アンフォルメル絵画の2つの『顔』」展から国内にとどまって描きつづけたサウラの『大群衆』の一部です。
12月と1月に2回に亘ってじっくり作品を眺め、圧政を強めるファッショ体制下で描きつづける事と、戦勝国アメリカの解放感の湧き上がる空気の中で描きつづけるのとではこれほどまで画風・色調が異なるものかと驚かされた展示であった。
その中でも一番印象に残った作品は上図のスペインに留まって描きつづけたサルラの『大群衆』で、何故か「アラブの春」の大群衆に重なって仕方がなかった。
4) 腱鞘炎を人生の友として
(1) 負担軽減の動作確認とお助けグッズ
先にも述べたように親指の付け根と腹の部分の腱鞘炎が悪化して只今四苦八苦中。親指は押す・握る・つまむ・引っ張る・提げる・絞る・抱く、これらの全ての動作の鍵となるのだが、親指を動かすと付け根と腹の部分に鋭い痛み生じそれが肩と首に伝染して急激な肩凝りに転じ、それでなくても万年肩凝りに悩まされている私には堪ったものではない。
腱鞘炎は特定部分の使い過ぎと加齢が要因とされ、サイトであれこれ検索した結果の最良の対症法は痛みが引くまでは親指を使わない事であったが、これでは、毎日赤ちゃんを抱っこしなくてはならない育児ママや、日々家事をこなさなくてはならない者にとっての解決にはならない。さらに、加齢が要因となると今後も頻々と発症するであろうし、ましてや風呂敷画学生としても由々しき問題なので、この際、腱鞘炎との付き合い方を模索して後々の症状悪化に生かすことにした。
先ずは痛みを和らげることが当面の課題で、そのためにある作業をする上でどれくらい力を抜けるか、親指を広げたり曲げたりすることなく従来の家事がどれ位こなせるか、指の位置や身体の向きを変えたり、左手を動員したり、お助けグッズを活用したりして一つ一つの動作を確認することにした。
動作確認とはコンピューターにはなじみの深い言葉で、windows登場前のMS−DOS時代には、PC購入時、新しいソフトの導入時、周辺機器の接続時、或いは故障時に手間暇をかけて一つ一つの動作を確認するのが常であった。
MS−DOS時代からデーターベースを活用して以来定年退職後の今も含めて40年に亘りPCと付き合ってきた私には腱鞘炎は職業病を通り越して持病ともいえるもので、マッサージ、温湿布、果ては針治療なで何とか危機を潜り抜けてきた。
しかし、今回の親指腱鞘炎は直接日々の暮らしにかかわる事であり、加齢も要因となれば生涯付き合う持病と認識して腹をくくって対処法を自分なりに確立する事にした。
上図はゴムオープナーとボトル・プルトップオープナー、いずれも100円ショップで見つけた。ゴムオープナーが3個もあるのはキッチン用、バスルーム用、化粧品用とそれぞれの場所に備えるためで、ボディローションのように一度に多量を要するものは広口瓶にまとめて出している。
上図は掌サポーター。左側はドラッグストアで700円位で購入したものでPC操作時に使用し、この文章を書く時も着装している。右側は100円ショップで入手したもので手を温めるために使っている。そう、手に冷えはよくないのだ。