外国と私(4)ビザから見えた「東側」

 現在では観光目的での90日間以内の滞在であればチェコハンガリーもビザ申請を必要としないが、1995年9月中旬から11日間の日程でベルリン→ドレスデンプラハブダペスト→ウィーンを巡った旅行では、当時「東側」と称する国が含まれていたこともあってビザ取得は必須であった。

          

 今、そのビザを見るとマルチプルとなっているから複数国ビザを一括したものであろう。この時もパック旅行であったからビザ申請は旅行会社に丸投げであったが、当時の「東側」諸国のビザ申請条件にはパスポートの有効期間が5ヶ月か6ヶ月残っていることが必要とされていて、3ヶ月弱しか残っていなかった私のパスポートは新規申請を余儀なくされた。

 で、ピッカピカのの新しいパスポートにビザ申請用の写真を添えて旅行会社に送り返したところ、今度は「パスポートの写真とビザ用の写真では同一人に見えない」とハンガリー審査官からクレームがつき写真を撮り直すようにとの連絡が入って愕然とした。

 まあ、パスポート用の写真ではクールネック・セーター姿、ビザ用写真では立襟のコットンシャツといでたちは異なるが、二つの写真の時間差は精々一月かそこいらだから、ちょっと見れば同一人物であることはわかるはずなのに、「泣く子と東側には勝てないな!」と舌打ちしながら、パスポート写真と同じいでたちで撮りなおして写真を旅行会社に送ったのだった。