私が始めて海外旅行をしたのは１９７７年（昭和５２年）末のアメリカ西海岸で、３３歳の時であった。
その動機と云えば、先ず、当時友人と通っていた飯田橋の英会話学校の成果を試したかった事。その英会話学校に通うに当たっては、私より若い団塊の世代の友人がビートルズ全曲を英語で歌うという強力な目的を抱いていたのに対して、連れ習いの私にはさしたる目的もなかったから、四六時中、授業を混ぜ返して金髪碧眼のイケメン講師からは「Quiet Sako !!」を連発される始末であったが、自分の英語がどれくらい現地人に通用するか試してみたいという気持はあったのだ。
次の動機は、当時の洋楽シーンがイーグルスやジェファーソン・エアプレインなど、心地よいWest Coast soundに席巻されていたこと。特に同い年のボズ・スキャッグスの大ファンだったから、彼の出身地サンフランシスを訪れるのも悪くないと思ったのだ。
ダメ押しは、１９７７年末のドル/円レートが２４０円辺りに切り上がり、年初の２９２円辺りから５０円以上も円高が進んだこと。この相場なら私の安給料でも何とか賄えると英会話学校に通う友人を誘ってＪＴＢ主催の「アメリカ西海岸パックツアー」に申し込んだのだった。
因みに当時の外貨持出限度額は５００＄だったと思うが、ＯＬの私が海外旅行に持ち出せるのは精々１０万円位だし、航空運賃や宿泊費はツアー料金に含まれていたので何ら支障はなかった。
私にとって初めての海外旅行となるのでパスポート申請は自分で手続きをしたが、当時のアメリカ旅行は短期観光といえども、ビザ申請が必要だったので､さすがにこれは旅行会社に依頼した（下図）。
このビザの有効期間は１９７７年１２月１２日〜１９８１年１２月１２日の４年間で、朱書きの「B-2」は短期観光者用であることを示している。
