ローガン国際空港で預け手荷物を受け取れなかった私と友人は、ホテル到着後に、間に合わせの着替えや洗面用具などを買うためにダウンタウンに出かけた。
ボストンのダウンタウンのショッピングセンターは、なかなか洗練されていて見て歩くだけでも退屈しなかったが、幾つかのお店で当面必要な品物を手にして、海辺の景色が素敵なのでそぞろ歩きをすることにした。
その過程で私達が遭遇したのだ、古色蒼然とした店構えながら、とても繁盛している牡蠣を売りとしているレストランだった。それは、創業1826年のボストン最古のレストランとされるユニオン・オイスター・ハウス。
牡蠣の大好きな私達は、その看板を見つけて脇目も振らずに一直線に店内に足を入れ、ギーギー音のする木の階段を上って二階の席を確保し、生牡蠣、牡蠣フライ、クラム・チャウダーなどを貪った。
とにかく、生牡蠣が小粒ながら東京と比べて安く、何とも言えないコクがある。しかも新鮮さと旨みが東京で口にするそれらと全く違っていた。
今でも私の舌が記憶しているのは、アサリがたっぷりで濃厚な味付けのクラム・チャウダーだ。それは、厚手の大ぶりなカップにたっぷり供されていた。
全てを食べ終えた時には私達の心も身体も温まり、預け手荷物未着の怒りは脇に置いて、翌日からのボストンライフを楽しむ事に気持を切り替える事が出来た。