矯めつ眇めつ映画プログラム(15)「パリ・ルーブル美術館の秘密」

 ルーブル美術館ボストン美術館メトロポリタン美術館といった巨大で華麗な美術館を訪れる度に、一体この美術館の裏側はどうなっているのか、そこで働くのはどういう人たちで、どんな仕事をしているのかと思いを巡らしていた。


 そして、その好奇心を満たしてくれる格好の映画「パリ・ルーブル美術館の秘密」が上映されるというので喜び勇んで映画館に駆け込んだ。


 この映画は、フランスのニコラ・フィリベール監督が、1990年に始めてルーブル美術館内にカメラを持ち込んで撮ったドキュメンタリー作品で、美術館内部の幾重にも入り組んだ部屋や廊下(館長がいまだ知らない通路や部屋がたくさんあるとの事)や、学芸員、美術品の運搬員、電気工事人、金メッキ師、美術修復職人、警備員、清掃員、案内係、資料係、写真家、庭師、音響学者、物理・科学者なの仕事振りの一端を見せてくれる。


 私たちが目にするときは展示場で堂々と鎮座している彫刻の傑作が、首や肩にロープを巻きつけられ台車に乗せられて通路を運ばれたり、背中に滑車を付けられて運搬車に吊り上げられたりする様はなかなかユーモラスであった。


 見ていてちょっと羨ましかったのは、きちんとした調理人を雇って美味しいカフェテリアを社員用に備えていること、制服は一流デザイナーに交代で注文しており、折りしも、新しい制服の切替時であったのか、画面では、イヴ・サンローラン社から届いた制服を、館員がはしゃいで試着している姿を見せてくれた。


 ルーブル美術館には約1200人の職員が働いているとのことで、画面から、彼らが、それぞれの持ち場で、世界のルーブル美術館を後世に引き渡してゆくために、誇りを持って働いている姿を目にすることが出来た(写真はプログラムから)。