りんご描分、ロケ弁の思い出

 
1) リンゴ描分

「リンゴ追分」ならぬ「リンゴ描分(かきわけ)」です。通常はリンゴはリンゴとして意識しているが、つらつら眺めるとリンゴは多様な種類があり、それぞれ色・形・大きさなどが異なっている。

そこで、透明水彩絵の具の初級者としては、色を習得するうえで「りんご描分」は格好の訓練になるのではないかと、幾種類かのリンゴを描く事にした。


(1) つがる

鮮やかな深紅と甘味が特徴の「つがる」。ご存じ、青森の代表的なりんご。


(つがる)


(2)あかね

 深いローズ色の「あかね」は北海道産です。さわやかな酸味が特徴なのでアップルパイやジュースにもお奨めとか。私は皮ごとむしゃむしゃ食べますが。


(あかね)


2) 「ロケ弁」の思い出

夕刊で映画・テレビなど撮影現場で食べる弁当の「ロケ弁」の記事を読んでいたら海の見える病院の一室でロケ弁を食べた事を思い出した。

定年退職1年後、新聞で「エキストラタレント募集」の記事を目にして、テレビを持たない生活をしているくせに、テレビロケの現場に立ち会うのは面白いのではないかと野次馬根性で応募した。

で、ある時、新進女優が検事か何かに扮した昼の連ドラで、犯人の愛人が狙撃されて、かつてヒロインといわくがあった男が院長が勤める病院に担ぎ込まれたという設定で、海の見える病院でロケーションが行われることになり、見舞客か患者役のどちらでも対応できる用意をして、との連絡に応えて大きなバッグを抱えて朝6時前に家を出た。

あの時は日曜で、交通不便な首都圏郊外の集合場所に朝8時に集まったのは10人くらいのエキストラタレントであった。レスキュー隊や看護婦役を除いて見舞客や患者役の出番は中々訪れず、やっと午後4時近くに中年の男性と見舞客を振られ、花束を抱えた私と男性が後ろ姿で廊下からエレベーターに向かうまでの1分足らずの役を演じたのだった。お洒落をしてきた同世代の女性はパジャマ姿の患者役で車椅子に乗った後ろ姿の出番が30秒だったので腐っていたが。

で、ロケ弁の話、

空腹でどうにかなりそうになった頃に「お昼」の声がかかり、大きな部屋で、各自が段ボールに積まれた仕出し弁当とペットボトルのお茶をとり、真ん中の机に陣取ってにぎやかに談笑する新進女優やテレビ関係者を遠巻きにする形で、我らエキストラタレントは空いた席に腰を下ろして黙々と弁当とお茶を口に流し込んだ。

冷たいご飯と揚げ物が詰まった弁当の中味に違いはないが、スターの可能性を秘めた新進女優と、その他一山で数えられるエキストラタレントの間には目に見えない太い線が横たわっていた。