突然ですが、ロビー・ロバートソンを偲び映画「ラスト・ワルツ」の思い出

解散コンサートのライブ映画を見て熱狂的な「ザ・バンド」のファンになった私。特に、リーダーのロビー・ロバートソンが御大のボブ・ディランに向けたまぶしげな眼差しが今でも忘れられない。8月9日になくなったロビー・ロバートソンへ心からの哀悼を込めて。

 

 

「ラスト・ワルツ」は、ザ・バンドが16年間に亘るグループ活動に終止符を打つことを決め、1976年11月25日にサンフランシスコのウインターランドで開いた解散コンサートを、名監督のマーチン・スコセッシが、演奏ツアーやメンバーの語る人生観・音楽観を挿入しながら、ドキュメンタリーに仕立てた映画である。

 

そして、このコンサートが画期的であったのは、単に一ロック・バンドの解散に留まらず、そこに集まった、 ボブ・ディランエリック・クラプトンニール・ヤング、ニール・ダイヤモンド、マディ・ウオーターズ、ドクター・ジョンロン・ウッドヴァン・モリソンジョニ・ミッチェルなど共に一時代を築いた錚々たるミュージシャンが顔をそろえ、観客を熱狂に巻き込む一大モニュメントであったからだ。

 

私がこの映画で感動した事や印象に残ったことは多々あるが、その中から二つ挙げると、

 

ジョニ・ミッチェルが紅一点として、ザ・バンドのメンバーにキスをされながら舞台に登場したとき、私は羨望と共に嫉妬を覚えた。彼女は頬骨が高く、決して美人とはいえないが、しかし、才能揃いのいい男達に仲間として迎えられたのだ。その事がとても羨ましかった。

 

また、ザ・バンドのリーダー、ロビー・ロバートソンが、黒人農夫の風貌をしたマディ・ウオーターズを、「男の中の男」として紹介した時、そして御大のボブ・ディランを紹介した時、敬愛する大先輩を見る眩しい目つきをしていたのがとても印象的だった。

 

そういえば、あの、イギリス中産階級育ちのミック・ジャガーはマディ・ウオーターズの生演奏を観て自分の進路を決めたと、何処かの新聞が報じていたっけ。

 

そのマディ・ウオーターズは「マニッシュ・ボーイ」を歌ったが、その中で、I’m a rolling stoneと声を張り上げていた。彼の歩んだ人生なのか、強烈な迫力だった。

 

私は、1978年に、雑誌[「ブルータス」の読者招待に当選して、友人と一緒に六本木の「俳優座シネマテン」で始めてこの映画を観たのだが、余りにも感動して、さらに2回も映画館に足を運び、その上、サウンドトラックの3枚組LPもCDも買ってしまった。写真は映画プログラムから