描く人願望(5)「お絵描き帳」’74長崎 墓地と坂道

 
街をぶらぶら歩いた感じでは、墓地と坂道が多いというのが長崎の印象であった。特に墓地に関しては、日頃見慣れた墓地と異なり、長崎のそれは最初に紹介した「ホタル茶屋下車の高台の墓地(http://d.hatena.ne.jp/K-sako+kankyo/20120602)」を含めて、唐風めいていたり、洋風であったりと異国情緒に溢れていたような気がする。

  



 坂道では尾道が有名であるが、擂鉢状の地形を考えると長崎に坂道が多いのも頷ける。坂道の数においては尾道といい勝負ではないか。

 厄介なのは、坂道を見るとむやみと歩きたくなる私の性分で、好奇心に駆られてひたすら歩き続けて民家のまん前に達し、怪しい人物と見られたことが一度や二度ではなかった。

 



 長崎といえば何といっても卓袱料理で、あの時もそれを楽しみにしていたのだが、どの店も4人以上の予約という制約があって、残念ながら「皿うどんとちゃんぽん」に切り替えざるを得なかった。

 食べてみると「ちゃんぽんと皿うどん」もそれはそれで美味しかった。思うに、中華街のように専門店が集合して互いに凌ぎを削っていたからであろう。

 思い出深いのは「吉宗(よっそう)」の茶碗蒸。あの時は下足番のおじさんがいたような気がするが、銭湯のように靴を脱いで下駄箱に納め、畳に座って、大振りの碗にたっぷりの熱々の茶碗蒸と蒸ずしを堪能した。

 「お絵描き帳」のメモは、「大振りな茶碗でたっぷりなのが良い。アツアツなのが良い。卵の固まり具合が(固まり過ぎない)何ともいえず良い。だしが薄味でさらっとしていて、それでいて、あぶらものって良い」と茶碗蒸しをべた褒めだ。