隠居のHarvard Summer School 留学記(21)

2004年8月6日(金)
【Break the Ice】

今日は午後のPlenary Lecture Series の授業で、ニコラス・コペルニクスの著作を世界の果てまで追いかけている、少しマニアックな教授のスピーチに対して、初めて私は質問した。

このPlenary Lecture Seriesとは、毎週金曜の午後に全レベルの英語研修プログラム受講生が一堂に会してハーバードの教授から専門分野の講義を受け、その後で質問をしたい学生は誰でも挙手をして列に並び自由に教授に質問する事が出来る。

Plenary Lecture Series の授業風景(入学案内書から)


その授業の後は「DIRECTED LISTENING」というレポートの提出が義務付けられ、それには、(1)自分がよく理解出来た事、(2)余りよく理解できなかったこと、(3)もっとよく知りたい事、に、ついて、それぞれ3項目ずつ記述することになっていた。

下図は「DIRECTED LISTENING」の表と裏

私は、これまでの「DIRECTED LISTENING」の提出を通して、Ma先生から「Kazuの疑問はユニークだから、是非教授に質問するように」と何度か勧められていた。そして「Break the Ice」と。

それで、この時は先生の期待に応えようと挙手をして質問者の列に並ぶと、Ma先生は私を振り返って嬉しそうな顔をした。そして、このレクチャーで何とMa先生のクラスから私を含めて4人もの質問者が列に並んだので彼女はものすごく誇らしい表情をしていた。

正にMa先生のクラスの「Break the Ice」の日だった。

【放課後のカフェ談義】

Plenary Lecture Seriesの授業を終えて、私と同じクラスの日本人男性K君の誘いで、やはり同じクラスの台湾人ビジネスマンのC氏、そしてMo先生のクラスでwork shop で一緒の日本人大学院生のY君と私の4人で、カークランドハウスに近い、美味しいと評判のカフェで2時間近く語り合った。話題は最近のビジネス事情や仕事の話が中心であったが、こういう、一つのテーマをじっくり掘り下げた話だと私は英語でも何とか対応できる。

その席でY君は興味深い話しをしてくれた。それは、同じレベルBでも、私とK君とC氏が属するMa先生のクラスは、Y君の属するMo先生のクラスよりもレベルが少し高い事、Y君の属するクラスは、比較的若い年代の学生が多く、彼らは授業中はのべつ喋りまくっているが、じっくり考える事や、文章を書く事が余り得意ではなく、そのために、授業の大半をプレゼンやグループ討議に充てている事、それに引き換えMa先生のクラスは、文章力、プレゼン力、読解力、ディスカッション力と、幅広い表現力を修得するカリキュラムが組まれている、ということであった。

なるほどそう言われてみれば、オリエンテーションの直後に抜き打ち的に小論文を書かせて、それ持って別室で教師たちが話し合った後でクラス分けを発表したのはそういう事だったのか、と、合点がいった。

機関銃のように次々と言葉を発するからコミュニケーション力があるとは限らないわけだ。コーヒーも美味しく、くつろいだ気分で情報交換ができて面白かった。