りんご描分(4)、控室で

1) りんご描分(4)

(1) ぐんま名月

長野県産なのになぜか名前が「ぐんま名月」。「ふじ」と「あかぎ」からうまれたとかで、「あかぎ」が群馬にかんけいしているのでしようか。芳香と濃厚な甘味が楽しめるりんご。



(2) 陽光

ゴールデンデリシャスの自然交配からうまれた「陽光」。紅色に近い赤が鮮やかで、甘さと酸っぱさが良い具合にミックスした濃い味わい。これまでのりんごよりも少し小振りなので大きな笊のなかで遊ばせてみた。



2)エキストラタレントの風景(2)控室で

薬缶が載った火鉢のある畳敷きの広い控室は雑然としていたが、既に私より5〜6歳若く、小柄で小太り、グレーの上下のパンツ姿の女性が居て、互いに自己紹介すると彼女も私と同じ「画面に顔が映る」お役で他のプロダクションから派遣されたエキストラタレントだった。

さっぱりした性格の彼女と意気投合してお茶を飲みながらモニターに目をやると、広いホールに大掛かりなセットが組まれ、30代前半と思しき神経質そうなCM監督の指示に従ってカメラや照明担当がせわしなく動いていた。

半開きの襖に目を移すと、私と同じプロダクションの30代の男性が「呼出」の衣装を着て通り過ぎるのが見えたが、その他大勢役のエキストラタレントには集合日時と場所と「○○の恰好の準備で」位しか情報が与えられないので、数百人ものエキストラタレントが集められたことも含めて、一体どんな設定のCM撮影なのか見当もつかなかった。

照明やカメラ位置が決まったのか、一つの方向に向かって数百人のエキストラタレントが一斉に移動する姿がモニターに映し出された頃に、私たちのいる控室にプロの役者と思しき中高年男性3人が入ってきて、片隅の座布団を手にして火鉢の前に車座に座った。

そこで女性と私が阿吽の呼吸で火鉢の薬缶からお茶を入れて男性たちの前に湯呑を置くと、それをきっかけに雑談が始まり、初めは自己紹介で女性と私がそれぞれ属するプロダクションの名前を告げた事から、私の属するプロダクションは余り欲がないが、女性の属するプロダクションはガツガツしているとか、どこそこのプロダクションは登録料を20万円もぼっているとか、どこそこは2万円と良心的だ、などと、エキストラタレント業界の話で盛り上がった。