ああ、メグレ警視!!!

K-sako2005-06-16

30年に亘って、今なお、私をひきつけてやまない、ジョルジュ・シムノンの傑作「メグレ警視」シリーズ。繰り返し繰り返し読む度に、登場人物一人一人の、人生の重みが、読む者に、ずっしり迫ってくるミステリーはそうそうあるものではない。

パリで生きる人たちの心理と生活の描写が素晴らしい。また、メグレ警視と彼を囲むお馴染みの部下の刑事達との絆の深さも、かつて職場で働いていた経験を持つ者には羨ましい限りである。さらに、定年退職後、田舎に引っ込んだメグレ夫妻の生活ぶりも、同じ定年退職者として、今では身近に感じられる。

まだハイテクの存在しなかった頃、そして警察機構が、メグレのように一介の巡査からたたき上げた刑事の時代の、犯罪捜査における情報の扱い方は、今でも参考になることが多い。やはり、情報というものは、人間の汗と息遣いが感じられてこそ、生き生きとしたモノになるということを芯から教えてくれる。

現在私が所有しているシリーズは、あれこれ寄せ集めで33冊。いち早く、早川ポケットミステリーがメグレシリーズを刊行した時は、70冊超であったと思うが、かなり前から絶版になっており、古本屋にも出回っていない。熱烈なファンの貴重なコレクションになっているのかもしれない。

私としては、早川ポケットミステリーの「メグレ警視」シリーズ全巻の復刊を願う。

写真は私の書棚のメグレ警視シリーズ