ただ椰子の実の殻をくり抜いただけの何の変哲もないトレー。

1977年(昭和52年)の初めての海外旅行でサンフランシスコとロスアンゼルスを経て最終地のハワイで買った物で、かれこれ40年使っているが、黒い塗盆や木目の美しい丸盆を差し置いて毎日出番を勝ち得てきたのには、使用主にとって得難い持ち味があったからに他ならない。

つまり、おっちょこちょいの使用主である私にとって、トレーに載せた湯飲みやコーヒーカップが何かのはずみで傾いて中身をこぼしても、心持ち深みのある縁にさえぎられてカーペットに飛び散るおそれがない。これは有難い。この事は。食事時にキッチンから味噌汁やスープを載せて食卓に運ぶ時にも大いに心強い。

また、お茶の時は、湯飲みまたはティーカップと菓子皿を並べて収められる横長の楕円形の形が重宝して、何時もこのトレーの出番となる。

何時も使いっぱなしで手入れもしていないが、使い込むうちに濃いチョコレート色になって風合いが増してきた。これからも10年位は私に付き合ってくれそうだ。