彼方の記憶(13)宙ぶらりんのドル小切手

2004年の定年退職直後にハーバード大学のサマースクールに短期留学した時は、大学の生協ともいえるCOOPを大いに活用した。初っ端から授業に必須の教科書・ファイル・レポート用紙などの文具一切、寮生活に必要な洗面具や諸々の雑貨、着替え用の衣類やサンダル、果ては帰国時のサムソーナイトまで。

また、ストレス解消に日本語のミステリーを持ち込んで二階のカフェに陣取って読みふけったものだった。こじんまりしているが気の利いたスウィーツも揃えていてなかなか居心地が良く今でも懐かしく思い出す。

さすがに経営のプロを育てるビジネス・スクールを擁する大学生協だけに商売上手で、観光グッズも充実していたので地元民だけでなく国内外の観光客を引き寄せて繁盛していた。

そのCOOPには1ドル支払ってメンバーになると、購入する毎に一定の割引額を年間集計した合計額を、1年に一度キャッシュバックとして還元する特典があり、それもあって私はせっせと買い物をしていたのだが、帰国してその事はすっかり頭から抜け落ちていた。

ところが、帰国4ヶ月後の12月のある日、そのCOOPからキャッシュバックとして、$8.79の小切手が届いたのだ。


さて、どうしたものかと思案しつつ、当時口座を開設していた外資系銀行に「このドル小切手でドル口座に入金出来ますか」と問い合わせたところ「ドル口座に入金は可能だが、小切手の取付け手数料が1000円かかる」と言われて目を白黒!!!!!

因みに当時の為替レートは1ドル105円前後、泣く泣く小切手を切り刻んでしまったが、国内での外貨小切手の取り扱いについて勉強不足を痛感した次第。