彼方の記憶(11)ピカチュー飛行機

2006年のある日、秋晴れのさわやかさに誘われて羽田空港に行く。都営浅草線京急乗り入れで、わが家からdoor to doorで45分。

当時は羽田空港の再国際化を目指して拡張工事が相次ぎ半日で見終えるには広くなりすぎたので、全日空中心の第2旅客ターミナルビルを観るだけにして屋上に駆け上ると、海の向こうに幕張のビル群がくっきり見ええ、周りを見渡すとデッキの金網に顔をくっつけていたのは大人の飛行機好きばかりだった。


そういえば友人のお姉様に連れられて初めて羽田空港を見物したのは私が田舎から上京した年の1963年だった。

当時は日本で唯一の国際空港として異国情緒が全体を覆っていた上に、とりわけ華やかな印象を私に刷り込んだのは、あの頃の日本の音楽シーンを席巻した「ほほにかかる涙」で大ヒットを飛ばした、イタリア・カンツオーネのボビー・ソロが到着ロビーで着飾った若い女性数人から花束を贈られていた場面に遭遇したからか。

とはいえ、今、ボビー・ソロと聞いてわかる人が果たして何人いるかな。甘いマスクのイケメンで、カンツオーネ界のプレスリーって感じだった。

などと若い頃の感慨に耽っていると、目の前にピカチューの飛行機が登場、いいなー、あれに乗りたかった!!!