さやえんどうの親戚スナップエンドウ
育ったのが岡山県北の盆地だったので、日本海と瀬戸内海の魚介がいつも食卓にのぼり、おかげで魚大好き人間になった。それも高級魚ではなくもっぱら青魚。
そういうわけで、東京暮らしも半世紀を超えているのに、未だに忘れられないのは、目も彩な緑のさやえんどうと焼鯖の甘辛煮。
さやえんどうが実る季節になると、何故か近所の鮮魚店が鳥取から入荷した鯖を一匹丸ごと串に刺して焦げ目をつけて焼いて店頭に並べる。ほとんど季節の風物になっていた。
釣り好きで魚料理が得意だった父は、それを見ると決まって買い求め、身をほぐした焼鯖とさやえんどうを醤油と砂糖で甘辛く煮付けて食卓に供してくれた。
「お袋の味」ならぬ「親父の味」。