レタスの塩昆布巻

私が20代の後半だったから1970年頃か、女友達3人と南房総の御宿海岸に海水浴に行った。私は金槌なのだが、浮き輪につかまって海水に漂うのも、何処までも広がる砂浜に寝そべるのも大好きで、それだけでOL生活のストレスは消えてゆく。何しろ若かったのだ。

で、お腹が空いて車座になってお弁当を開く。私は海苔巻お握りとゆで卵に塩昆布、他の友人も似たようなものだったが、一人が持参した大きめのタッパウェアには瑞々しいレタスがとぐろを巻いていた。

私は思わず一枚のレタスを掌に広げてそれで塩昆布を巻いて口に入れたのだが、レタスの水っぽさと昆布の塩味で絶妙な味わい。私の満足そうな表情につられて友人たちも真似をしているうちに塩昆布とレタスはあっという間になくなった。

日頃は、かさばる割にはなかなか減らないレタスを食べ切るのに手を焼くのだが、そうか、塩昆布を巻いて食べるとあっという間になくなるのか。

イヤイヤ、燦々と降り注ぐ太陽、見渡す限りの砂浜の向こうに広がる青い海、そして海水浴を楽しむ人々の喧騒、そこに若さが加わって、レタスと塩昆布を絶妙な味に仕立て上げたのだ。