隠居のHarvard Summer School 留学記(15)

閑話休題(2)読解力を深める
1.書く事で深める

午前のIntegrated Classでの、「Montana 1948」を教材として読解力を養う授業には感嘆した。書く事とディスカッションを組み合わせ、重層的に読解力を身につけさせるのだ。

多分日本の学校ではここまで徹底してやらないであろうし、それ以前に教師や教授の力量が足りないであろうと思った。

「Montana 1948」は約180ページのペーパバックである。ストーリーは省くが、Ma先生からは、最初に、辞書を見ないで最後まで目を通すように指示された。

そして、40ページ前後を1回の範囲として、4回に分けて、自分の言葉でストーリーを要約したものに感想を加えて「Journal of Montana 1948 」を作成し、先生に提出した。

次の段階では、小説についての小論文(エッセイ)「The Impression of Montana 1948」を提出したが、先の「Journal of Montana 1948」も含めて、いずれも、緻密な添削指導があり、特に「The Impression of Montana 1948」は何度も書きなおして完成に漕ぎ着けた。


2.ディスカッションで深める

書く事で読解力を深めた後は、二人一組のチームや3〜4人のグループでディスカッションを行い、最後にクラス全体のディスカッションを行った。

チーム及びグループディスカッションでは、事前に先生がテーマを設定した教材「GROUP/CLASS DISCUSSION」が配布され、それに基づいて討論を行った。

「Montana 1948」に関する仕上げのクラス全体のディスカッションに当たっては、自分が
理解できなかった言葉と6項目の質問文を「Montana 1948 the question and the words」
にまとめておく宿題が課されていた。

そして、授業では、宿題でそれぞれが作成した「Montana 1948 the question and the words」
を手に、質問したい人が自主的に手を挙げて自分の質問をホワイトボードに書き、回答者
を指名することが出来る。指名された人は逃げる事が出来ない。しかし、自主的に答えた
い人は、何時でも挙手して割り込む事が出来る。何とも活気のある授業であった。

こうしたディスカッションを積み重ねてゆくと、同じ文章を目にしているはずなのに、様々な解釈が出てきたり(珍解釈や正反対の解釈もあって、大笑いになった事もある)、ある登場人物の行動について、支持できる、出来ないと意見が分かれたり、どの登場人物に共感を抱くかも、人によって異なる事がわかって、面白かった。

「理解する」という事は、ただ自分の頭の中で解ったと思えば充分なのではなく、文字なり言葉で、他の人に分かるように表現できるところまで達して、初めて言える事だと改めて認識した。