安納芋 混色理論

1) アトリエから

鹿児島県種子島産の安納芋(あんのういも)を水彩絵具とパステルを用いて描いてみた。



 安納芋は薩摩芋の一種で甘さが際立っていて、一番おいしい食べ方は天ぷらや焼芋だが、私は黒砂糖を少し入れてコンポートにして、シナモンパウダーをたっぷり振り掛けてお茶うけにしている。リンゴを加えても美味しいが安納芋だけでも絶品。皮ごと食べると味わいがさらに深まるのでその場合は無農薬を。

 
2) 水彩絵具学(2)混色理論

 例えば絵具の赤のカドミウムレッドライトには赤みと黄みが含まれているように、絵具の固有色は3原色理論の赤・青・黄で成り立っている。

従って混色には絵具に含まれる赤・青・黄がどのように作用するかを知ることが不可欠になる。そこで「2色の足し算」と「3色の足し算」の違いを見る事で色みの作用を確認したい(図では色みの識別と、色みの比率を線の数で表示しました。但し白の色みはペンで表示)。


(1) 2色の足し算は鮮やかな色

 2色の足し算が鮮やかな色になるのは3原色理論の2次色と同じ理屈になり、絵具に含まれる2次色が同じなら絵具の本数が増えても鮮やかな色が出来る。


   

・上段のウルトラマリンディープとクリムゾンレーキでは、それぞれが赤みと青みを含む2色なので鮮やかな紫に。

・中段のカドミゥムイエローディープとカドミゥムレッドライトは、それぞれが赤みと黄みを含む2色なので鮮やかな橙に。

・下段のセルリアンブルーとレモンイエローは、それぞれが黄みと青みを含む2色なので鮮やかな緑に。


(2) 3色の足し算は鈍い色

  3原色理論では赤・黄・青が均等に交ると黒になるが、絵具では含む色みの割合がそれぞれ異なるために黒にはならずに優先する色どうしが作用して鈍い色になる。

 

・上段のカドミウムレッドライトとセルリアンブルーでは、赤と青なら紫のはずだが3色目の黄みがあるため褐色がかった鈍い紫になる・

・中段のクリムゾンレーキとレモンイエローでは、赤と黄色なら鮮やかな橙になるところに3色目の青みが加わるので茶色がかった鈍い橙になる。

・下段のウルトラマリンディープとカドミウムエローライトでは、青と黄色で鮮やかな緑のはずが3色目の赤が加わるので鈍い緑になる。


参考文献:いずれも鈴木輝實著
透明水彩混色教室すぐに役立つ色づくりの実技」(グラフィック社)
「水彩画を極める混色テクニック」(Gakken)