散るも風情、西海岸点描(2)


1) スケッチブックから〜古希祝の芍薬

全く花に縁のない暮らしをしている私だが、古希という節目に二度も豪華な花の到来を受ける事になった。

 

さて、頂いた大輪の芍薬(牡丹ではないよね?)、花瓶に飾って眺めながら、絢爛たる華やかさをどう描けばと思案していたところ、翌日から、はらり、はらりと散り始めて私をうろたえさせたのだが、満開だけが花の見時ではない。散りゆく風情というものがあると思い直して描いてみた。

 


2) 閑話〜西海岸点描(2)

束の間のファーストクラス

1979年のGWに、友人と私は成田・ロスアンゼルス間の格安往復チケットを活用して2度目の西海岸旅行に出かけた。そして、ホテルのチェックイン後、翌日のサンフランシスコ便の確認のために旅行会社に立寄ったのだが、利用予定の航空会社がストに突入して収束の見通しが立たない事を知らされ、互いに顔を見合わせるだけで言葉も出なかった。

そんな私たちに、オレンジと白の縞模様のスーツにハイヒールの同世代と思しき担当者は「手持の搭乗券に幾らか上乗せすれば別の航空会社のファーストクラスが利用できます」と提示してくれ、上乗せ額がそれほど高くなかったので私たちはこの案を受け入れた。

最優先の乗降、ゆったりと心地良い座席、香り高い飲物、丁重な客室乗務員のサービス、待ち時間なしの手荷物の受渡し、などの特権を味わい、1時間足らずのフライトはリッチな気分に満たされたのだった。

 しかし、今でも鮮やかに蘇るのは、均等法もない日本での野暮な制服の若い女性で占められた旅行会社の窓口と比べて、洗練された装いで、広い裁量を与えられ、年齢どこ吹く風と、アメリカの旅行会社で活き活きと働いていた女たちの眩しさである。